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余録/てつたび
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 2014年7月のある昼下がり、いつものように法華口駅を訪ねると、北垣駅長が「今日は午前中に中井精也さんが来られていたんですよ」と興奮気味に言う。
 「え〜っ!だったらもっと早く来ればよかった!」
 「NHK/BSの『てつたび』という番組の取材で、すごく緊張したんですけど、とても気さくな方でよかったです」
 その番組で北条鉄道を取り上げることは知っていたが、まさか今日がその取材日だったとは。
 「それで、どこへ行ったか知りませんか?」
 「さあ、そこまでは」
 そりゃそうだ。北垣駅長に尋ねるのは筋違いと言うもの。中井プロにはどこかで出会えることを期待して、沿線で撮影を続けるが、結局そのまま夕刻となってしまった。締めの夕陽はいつもの網引駅と決めて、列車を待っていると、「わ」ナンバーの大きなワンボックスカーが到着。おお、これはNHKに違いないと固唾を飲んで様子を見守る。
 果たして車内から、撮影機材をかついだクルーが続々降りてくる。さあ、次こそ中井プロと期待は高まるが、最後の一人がスライドドアを閉めてしまった。あらら、別のテレビ局の取材?
 それでも辛抱たまらず、駅で撮影の準備をするクルーに声をかけると、確かにNHKだという。
 「でも、中井さんは?」
 「明日は東京で昼の番組に出演するんで、さっき帰りました」
 う〜ん、またすれ違いか。
 「でも、明日の晩には帰ってくるので、明後日はまたこっちで取材ですよ」とのこと。
 そんなスケジュールを一般人に言ってしまっていいのかと思いながらも、聞いてしまえばこちらのもの。
 しばらく沿線の情報などを話していると、
 「どこか穴場はありませんか」とディレクターから尋ねられ、紹介したのが本文の写真032の法華口〜播磨下里間の蓮の池だ。さらにディレクターから「線路際ですか?」と問われ、「いや、ちょっと離れているんで、撮影には適さないかも」と答えたのであった。



蓮の池と下校中の小学生たちshadowshadow

ちょうど通りがかった下校途中の小学生たちを蓮の池越しに撮影。
このタイミングで列車が来るなんて奇跡は、やっぱり起きない・・・。


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