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秋田内陸縦貫鉄道2022 春
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 今回は直前に予定を変更したため、角館の街中の宿の空室が限られ、料金もべらぼうに高いのでさすがに敬遠。最近はダイナミックプライシングというのだろうか、時期によって宿泊料が大きく変動するようになり、経営上はしかたないのであろうが、まだなじめないままだ。
 そこで、その日は田沢湖まで足を延ばし、田沢湖ローズパークホテルに初めて泊まった。このホテルは田沢湖西岸にあるので、何度も通っている羽後長戸呂〜松葉の築堤から7〜8キロと意外に近いのだ。ホテルは少し古いがきれいに整備され、スタッフも気さくでとても感じがいい。何より部屋の大きな窓の目の前に田沢湖が広がり、特に明け方、対岸の山々から上る朝日は格別だ。今度からここを定宿にしようかって、まだ秋田内陸縦貫鉄道に通い続けるつもりなのか・・・。

 田沢湖に泊まったこともあって、翌朝はお決まりの角館〜羽後太田ではなく、羽後長戸呂〜松葉の築堤沿いで、2017年春に遠目に撮影した桜の下で撮影する。そのときは先客がいて近づいて撮るのをあきらめた桜だ。花の色が濃いので、羽後太田の桜と同じ品種なのであろう。桜は線路の北側にあり、列車側面に陽が当たるのは午後遅くなのだが、そのころには右手側に陽が回り、桜の花が自らの陰になってしまう。だからせめて列車の正面に陽が当たる早朝に撮影することにしたのだ。
 この列車を撮ったのが8時ごろ。ここから田沢湖のホテルへ戻り、予約していた8時半には何食わぬ顔で - - - いや朝食は食うのだが - - - レストランに座っていたのであった。


羽後長戸呂〜松葉の桜shadowshadow


 朝食後は、せっかくの好天なので、角館の武家屋敷や桧内川堤の桜へ出かけてみる。武家屋敷入口の駐車場は入庫待ちの列ができるほど混んでいて、町中も観光客があふれて雑踏の様相だ。おいおい、まだコロナは収束していないんだぞと自分のことは棚に上げてぼやいてしまう。
 昼からは、前日薄曇りで満足いかなかった羽後太田駅周辺の桜を撮りに行く。ただ、どれも同じような写真なので、1枚だけ載せておこう。羽後太田駅の角館側にある枝垂桜だ。最初は枝垂桜だけに絞って撮ったのだが、どうもさみしいので次の列車で水仙を足し算してみた。写真は引き算とさんざん言われるが、この場合の足し算はありじゃないかと思う。
 結局、午後いっぱい羽後太田駅を根城にして撮影を続ける。列車を待つ間、時間の無駄遣いをしているようで自己嫌悪に陥りかけるが、いやいや、あれこれ撮り方などに思いを巡らせる自由な時間を得られるなんて、最高の贅沢だと割り切ることにした。


羽後太田駅の枝垂桜と水仙shadowshadow


 最終日、再び天気は下り坂。ホテルをチェックアウトして、とりあえず羽後長戸呂〜松葉の築堤へ向かう。
 2018年春に撮った場所に立ってみるが、やはり曇り空では以前の写真には遠く及ばないのは明らかだ。そこで、足元のヒメオドリコソウの群生を入れることにした。前日の羽後太田駅での枝垂桜と水仙も足し算だが、それは積極的な足し算と言えるのに対し、ヒメオドリコソウはやむを得ずという消極的な足し算で、結果が写真にも表れているように感じる。
 

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 最後は初日のスタートと同じ角館〜羽後太田の桜で締めることにする。曇り空なので、少しでも桜の花を目立たせるため山々がバックになるよう少し離れて望遠で狙う。結果は平凡な構図ながら落ち着いた感じに仕上がり、それなら晴天だった初日、撮り直しにこだわらず最初からこのアングルで撮ればよかったとも思うが、まさに後の祭り。さあ泣いても笑ってもこれで終わりだ、レンタカーを返して「こまち」で帰ろう。


角館〜羽後太田の桜shadowshadow


【2022年4月現地、同年11月記】

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