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秋田内陸縦貫鉄道 秋
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<最初の秋>
 初めて秋田内陸縦貫鉄道を訪れたのは、2009年11月のこと。
 そのときは、もう紅葉は終わっていただけでなく、ずっと雨模様。嵐のような雷雨やあられにも見舞われて、とても外に出られず、レンタカーの中で待機して列車をやり過ごすなど、散々であった。
 翌2010年、少し時期を早めて10月下旬に再訪したが、今度は地元の人が「ぜんぜん紅葉していないねえ」と言うとおり、山の木々はまだ青々としていたのであった。
 

角館駅の虹shadowshadow

雨にたたられた2009年の秋。帰る間際になって陽が差して、秋田内陸縦貫鉄道角館駅に虹がかかる。複雑な心境で「こまち」に乗り込んだのであった。


<三度目の秋>
 春の桜だけでなく、秋の紅葉を求めて何度も通うとは、その執着心には我ながら呆れるが、2014年10月末、再び秋田内陸縦貫鉄道へ向かう。今回はさらに気合を入れて有給休暇を2日取り、前泊を含め3泊4日の行程だ。実質3日間だが、週間天気予報では晴れマークが並ぶ。これに紅葉のタイミングが合えば、言うことなしだ。
 前夜、神戸から東京まで行き、翌朝始発のこまち1号で定刻9:35に角館到着。事前に調べていた駅前のタクシー会社でレンタサイクルを借りて、早速繰り出す。
 東北地方は、直前まで雪が降るなど冷え込む日が続いていたので、完全な冬支度で臨んだのであるが、この日は晴天に加え、気温も高く、セーターを脱いでジャンパーだけ羽織る。それでも日なたにいると暑いくらいで、最高気温は18度だったそうだが、体感的には20度以上に感じられ、まさに自転車日和。
 通常ダイヤであれば、次の列車は角館11時02分発なので、充当余裕があるのだが、秋のシーズンは、10時03分発の臨時列車「快速じゅうべえ」が設定されているので、少し急ぐ。
 駅から北東側の丘を登って、墓地の横を駆け降りると田園地帯に入り、秋田内陸縦貫鉄道の踏切に至る。列車の時刻も迫り、そのまま踏切の横で構える。青空に反逆光で輝くススキの穂を撮ったつもりだが、思ったより目立たず。


ススキshadowshadow


 次の下り列車は、八津で「快速じゅうべえ」と交換するので、あまり間を空けずにやってくる。
 ということで、ほとんど移動はせず、今度は望遠で藁葺き屋根の家との絡みを望遠で狙う。この家は、以前、訪れたときに見つけて、いつか撮ってみたいと思っていたのである。
 さあ、いよいよだとファインダーをのぞくと、おっちゃんがカメラを構える姿が見える。このおっちゃんは、さっき自転車で踏切を渡っていったのを見かけたが、てっきり地元の農家の人だと思っていたのだ。おっちゃんがうつむいているように見えるのは、撮影した画像を確認しているからに違いない。


藁ぶき屋根遠望shadowshadow

列車の右手に電柱らしきものが入ってしまった。もう少し左に寄ればよかったのに、このへんが詰めの甘いところ。


 藁葺き屋根の家をもっと近くから撮ることにして、そのおっちゃんを追うように線路沿いの道を走る。すると、前からおっちゃんが引き上げてきた。思わず「こんにちは。写真撮っていたんですか」と声をかける。やはり地元の方で、この付近では、秋田新幹線も併せて撮れるので、足しげく通っているそうだ。
 そんなおっちゃんと別れ、目指す藁葺き屋根の家へ。しかし、列車と絡めるのはどうにも難しい。潔く藁葺き屋根はあきらめて、近くのコンクリート橋に落ち着く。橋の下からのぞく山並みが印象的で、あたかも列車が山を飛び越えていくように見えたのだが、どんなものだろう。


山を飛び越えてshadowshadow

やってきたのは、地元角館高校の生徒が描いたというラッピング車であった。あのおっちゃんも、この車両を狙っていると言っていたので、どこかで撮っていたことだろう。



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