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秋田内陸縦貫鉄道 秋
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 ここから先、内陸線は霞田トンネルに入り、道路は大きく迂回することになる。実は、前夜食べたものが悪かったのか、体調が芳しくなく、ここで歩くのは断念して引き返す。あわよくば次の左通を越えて上桧木内まで歩くつもりだったのに、焼きが回ったものだ。
 最後は黄葉をバックに羽後中里駅へ進入する下り列車を駅撮り。


羽後中里駅からshadowshadow


 そのまま乗車して、たった一駅、松葉へ戻り、前日と同じく角館〜羽後太田間の築堤へ。性懲りもなく、もう一度夕日ギラリを狙ったのである。
 今度は手前に障害物がないことをしっかり確認したうえで、やはり列車に合わせてカメラをパンしながらタイミングを・・・あれ?光らない。今度は縦方向の角度を読み違えたか。
 泣いても笑っても、もう日没だ。引き上げかけると、少し雲が出てきて、もしかしたら夕焼け雲になるかもと、もう1本粘ってみる。結果は思ったほど赤くならなかったが、朝の霧と同様、自然相手だからしかたない。
 

夕焼けshadowshadow


 何はともあれ、これで2日目の撮影も完了。途中で引き返さざる得なかったものの、素晴らしい紅葉に大満足だ。歩けなかった場所は、体調を整えて明日また行けばいいさ。夕食を済ませてホテルに戻り、テレビをつけると、ちょうど天気予報の時間。見るまでもないと思ったら、まさかの雨マーク! え〜っ3日間、晴れじゃなかったの!?

 翌朝、雨は降っていないが、前日より空が暗い。それでも、ホテルでぐずぐずしている間に日が射して、後悔したくない。意を決して出かけてみるが、やはり雲は切れず。曇天の下で朝の2往復を撮り、すごすごとホテルへ引き返す。
 朝食をとりながら、「さて、今日はどうしたものか」って、ゴールデンウィークのときと同じじゃないか。
 この日は、大館能代空港から帰途につくことにしていたので、いずれにしても北上しなければいけない。とりあえずレンタカーを出すが、予報どおり雨が降り出してきた。「雨に備えてレンタカーにしたんだろ」と、天で誰かが笑っているような気がする。
 前日歩きそびれた羽後中里〜左通〜上桧木内で、何か所か立ち寄るが、やはり傘をさしての撮影は、前日までの好天との落差が大きすぎて、テンションが上がらない。こりゃ早めに空港近くまで行って、お茶でも飲もうと戸沢付近まで北上すると、山の様子がこれまでとは違う。カラマツだろうか、紅葉というより黄葉が広がっている。これは撮らなきゃと車を降り、道路沿いから撮影場所を探す。
 ふと、大型犬のような気配を感じ、やばい、野良犬かと振り向くと、目が合ったのは、あら、カモシカ君。鉄ちゃんが珍しいのか、何してるの?という感じで、じっとこちらを見ている。その表情は愛らしく、「鉄道を撮りに来たんだよ。君は?」なんて会話ができたら嬉しいのだが、それは叶わないので、語りかけるように見つめ返す。カメラを構えても身じろぎひとつしない。でも、何せ道路のど真ん中だ、車が来たら危ない。名残惜しいが敢えて一歩踏み出すと、ぴょんと跳ねて山へ帰って行ったのであった。


カモシカshadowshadow


 再び撮影場所を探し、最後のショットは築堤のカーブの内側で。晴れていれば、もっと黄色が映えたことだろう。
 桜のシーズンだけでなく、秋にもまた来たい。そんな欲どおしいことを考えながら、峠を越えて、一路大館能代空港を目指したのであった。
 

黄葉をバックにshadowshadow

ラストショットも、あのラッピング車であった。


【2014年10月現地、2015年1月記】

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