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樽見鉄道 <その3 銀杏編>
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 東京の家の近くに大きな銀杏の木があった。
 子供のころ、その大銀杏に登り、途中の枝がおあつらえ向きに平たくなっている場所で、あるときは友達と、あるときはひとりただぼんやりと座っていたりするのが好きだった。
 枝といっても子供なら3人は優に座れる広さがあって、ひとりなら寝そべることさえできた。
 もっとも、隣の2階建の家が見下ろせたから、高さは7〜8mはあったはずで、危ないので本当に寝入ってしまうわけにはいかないのを残念に思ったものだ。
 そんな銀杏の大木も今は切り倒されてしまい、その姿はない。

 本の原稿も大詰めを迎えていた2003年12月、東京出張帰りにまたしても樽見鉄道に立ち寄った。もう執念の客車列車撮影である。
 しかし、雨男もまた執念深かった。翌朝はいつもどおりどんよりとした曇り空。

 ところで、樽見鉄道は2003年10月にダイヤが改正され、客車列車撮影には少々不便になってしまった。というのも改正前は大垣6:44発の第3列車に乗れば、本巣発7時11分発の第206列車すわなち客車列車を沿線で撮ることができた。
 ところが、改正後は第3列車が7時14分に繰り下がり、一方の客車列車は本巣発6時57分に繰り上がったため、東大垣で交換してしまうのだ。
 それなら1本早い第1列車に乗ればいいと思うだろうが、大垣発が6時ちょうど。夏場ならまだしも、冬の夜明け前、寒空の中で1時間以上も待つのはちょっとつらい。
 そこで、軟弱にも頃合を見計らって、大垣からタクシーで揖斐川のほとりまで行くことにした。料金は思ったよりかかってしまったがしかたない。
 揖斐川を渡る上り客車列車を撮った後は横屋駅に向かい、途中で下り客車列車を撮る。そのときの写真が『ローカル私鉄なるほど雑学』に載せたものだ。

 さて、ダイヤ改正は何も悪いことばかりではない。
 改正前、セメント列車は早朝、深夜の運転だったので撮影に適さなかったが、改正後は昼間に走るようになったのである。
 そこで、横屋駅のあたりで10時過ぎまで待ち、おりしも見事に色づいた大銀杏の横を走り抜けるセメント列車をカメラに収めたのであった。

セメント列車
犀川を渡り、横屋駅に駆け下りるセメント列車。
エンジンの排気が、色づいた銀杏にかぶってしまったのはちょっと残念。



 これでやっと銀杏の話に行き着いた。
 冒頭に書いたとおり、大きな銀杏の木には思い入れがある。
 空の青さは望めない、それなら銀杏の黄色を主体に撮ろうじゃないか。
 ということで、銀杏の木のある加茂神社の境内に陣を張り、写真を撮ることにする。

銀杏の木
銀杏の木を見上げて下り列車を。
似たようなアングルで上り列車を。

←写真は2枚あります。画面に触れてみてください。


ハイモ295-315
最後はオーソドックスなアングルで。
先頭車両は最新車両のハイモ295-315。



 なかなかこれはと思う写真が撮れない。あと1本、もう1本と粘り続けるうち、雨も本格的に降り出してきた。
 どうやら潮時、引き上げようと荷物をまとめる。おっと、その前に場所を借りたお礼をしなくちゃ。
 気持ちばかりのお賽銭をあげて、手を合わせる。「お邪魔しました」

【2003年12月現地、2004年7月記】
<桜花編につづく>

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