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大道具・小道具たち その2


【小道具】
 大道具に続いては小道具。とは言ったものの、路面電車にまつわる小物なら、どれもこれも小道具と言えそうだ。まあ、あまりこだわってもしかたないので、アットランダムに紹介していこう。

運転台の3点セット
 最初は、大道具に引き続き、またまた長崎電軌でのお話。
 長崎電軌の広報を担当されていた西川さんという女性の方に、事前に取材の申し入れをした際、何かこれはという小道具はないだろうかと尋ねたところ、運転台左下に備え付けた車輪止めはどうでしょう、とのお答えだった。
 なるほど、長崎は坂が多いので、故障時など車輪止めは必須だろう。そして、あの1982年(昭和57年)の大水害で、軌道上に長時間停車せざるを得なくなったときも、車輪止めを噛ませたとのことであった。
 あの大水害は、もう20年近く前のことであるが、神戸に住んでいた私でさえ、一報を聞いたときの衝撃は忘れられない。被災された長崎の人たちはなおさらであろうし、長崎電軌の方なら車輪止めひとつを見ても、当時のことを思い起こさせるのかも知れない。

運転台の3点セット
車輪止め、砂袋、消火器の3点セット
 実際に長崎に赴き、早速運転台を確かめてみると、車輪止めだけではなく、砂袋、消火器が3点セットよろしくなかよく並んでいた。砂袋まで積んでいるのは、しつこいようだが、やはり坂の多い長崎ならではだ。
 ところで、長崎電軌の西川さん、さすが対外的な広報を担当されているだけあって、話しやすく、とても感じのいい方だった。例の『左』『右』交互に点滅する信号でポイントを切り替える仕組みも、専門の方に尋ねてくださったのだろう、丁寧な図解を送ってくださり、たいへん参考になった。手書きの図解に温かみも感じたものである。
 できあがった『がんばれ!路面電車』を西川さんに送ると、その返事の中で、これまで苦手な電車の構造などを勉強しようとしても、どの本もなじめなかったけれど、この本はとても読みやすい、と書かれてあった。
 いやあ、お世辞とはわかっていながら、うれしいお言葉。
 そう、『がんばれ!路面電車』は西川さんも認めるわかりやすい本。もし、まだお買い求めでなければ、みなさんもぜひ1冊。
 って、どさくさに紛れて、ちゃっかりPRしたりして。

 本当は、ここで西川さんと実名を出してもいいか、散々迷ったのだけれど、お世話になったのは事実だし、仮にNさんなどとするほうがかえって失礼かと思い、敢えて実名にさせてもらった。おまけに手紙の内容まで公開してしまって、ご無礼お許しいただきたい。
 それより、西川さんにかこつけて本のPRをすること自体、無礼だって?ごもっとも。返す言葉もない・・・

運行表
 実名と言えば、もうひとり、豊橋鉄道の女性運転士、小板橋さんの名前も出していたことを思い出した。
 考えてみたら、実名を出したのは女性ばかりである。
運行表
運行表
 豊橋鉄道の営業所で、小板橋さんへのインタビューの際、運行表も見せてもらった。もっとも運行表自体は、路面電車だけではなく、一般の鉄道や路線バスなどでも使われるポピュラーなものだ。
 営業所の人の話では、1回の運用で連続2時間半乗務して、それを1日3回繰り返すのが基本的なパターンだそうだ。単純計算で実働7時間半となるが、その間、ほとんど立ちっぱなしで運転しているわけだから、なかなかの激務である。
 小板橋さんの運行表を見ると、次の乗務は14時だ。本にも書いたとおり、写真を撮られるのは緊張すると言う小板橋さんをなだめて、添乗取材させてもらう。
「でも、今度は写真を撮りにくい電車でよかった」と小板橋さんはいたずらっぽい笑みを見せる。
 何のことかな、と思いながら、やってきた旧東京都電の3500形に乗り込むと、「なるほど、やられた!」この型の電車だけ運転台が広い分、横にまわりこんで写真を撮るスペースがないのだ。おかげで、本に掲載した写真は、斜め後ろからのアングルになってしまった。せっかくチャーミングな小板橋さんなのに・・・

 う〜む、ここまで書いて、まだ小道具は2つしか触れていない。どうも女性の話になると、『趣味の合う話』といい、筆が走ってしまうのは、もう癖と言うよりほとんど病気みたいなもの。
 ということで、自分でも予期しなかった展開であるが、小道具のことは、さらに次回に続けることとする。

【2001年7月記】




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