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京福電気鉄道
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 三条口からは電車で西院まで戻る。阪急京都線の西院駅もすぐ近くだ。ただ、阪急が『さいいん』と素直に読むのに対して、京福電鉄では単に『さい』と読む。いわれはわからないが、『さいいん』と『い』がだぶると語呂が悪いので、単に『さい』と呼ぶようになったのだろうか。
 その西院に京福電鉄の車庫がある。車庫をのぞくと、ほとんど車両はおらず、フル稼働のようだ。電車が出払っているなら車庫の人は暇かなと、ちょっとお邪魔して話を伺おうかと思ったが、もしかしたら逆に検査の準備で忙しいかも知れないと思い直して、遠慮することにした。
 そうこうしているうちに昼もまわり、そろそろ金閣寺に行かなくちゃ、と思いながら、あと1本、もうあと1本、と電車の姿を撮る。結局、ぎりぎりになっていまい、タクシーで金閣寺に向かった。

御室にて
仁和寺の最寄り駅、御室にて。
 金閣寺の入口で30分近く待つが、家族は現れない。はぐれたかと北野白梅町まで小走りで向かうが、やはり姿はない。またとって返して金閣寺へ。さすがにいわゆる金閣寺坂を駆け上がるのはしんどいのでバスに乗り、反対車線の歩道を確認しながら戻る。
 それでも姿はない。おかしいなあ、とバスを降りると、歩道にカミさんが呆然と立ち、傍らに子供たちがへたりこんでいるのを見つけた。
「ど、どうした?」
「バテたんだって」あきれ顔でカミさんが言う。
「バテるって、2〜3キロしか歩いてないだろう」
「運動不足ね。鍛えなおさなくちゃ」
「だって、ママが道を間違えるんだもん」と子供が口を挟んだ。
 聞けば何を思ったのか、金閣寺から西へ向かい、途中で道を尋ねて間違いに気づいたという。
「金閣寺から南へまっすぐ下りろと言っていたのに、西へ向かったら、仁和寺に戻っちまうじゃないか」
「だって、地図がいい加減でわかりにくいんだもの」
 地図は、四条大宮駅にあったリーフレットのイラスト風のもので、確かに正確ではない。
「でも南と西を間違えるか?」と言いかけて、まあいいや、「さあ、行くぞ」と子供たちを急き立て、北野白梅町へ向かう。
 北野白梅町からは、ちょうどやってきた休日運転の嵐山行き直通電車に乗る。終点嵐山界隈も観光客でごった返していて、有名な渡月橋へ行こうと思ったら、歩道が一杯で車道を歩かねばならないほどだ。こりゃたまらんと、さっさと踵を返して帰途についたのであった。

【後日談】
 ある日、カミさんが子供たちを鍛えると言って、六甲山へハイキングに連れていった。家族向けの短いコースだったこともあって、難なく踏破した子供たちから
「ママね、また道を間違えたんだよ」と耳打ちされた。
「え、簡単なコースだぞ。それに今度はちゃんと正確な六甲山の地図も渡していたろう」
 どうして間違えるかなあ、地図が読めないとは・・・ん?そのセリフどこかで聞いたような。
 ということで、ベストセラーの『話を聞かない男、地図が読めない女』を購入(^^;
 女性は空間能力に劣るとあって納得はしたが、それよりも男性は視野が狭く、その例えとして冷蔵庫のバターを見つけられないという話に、思わず笑ってしまった。
「お〜い、俺の湯呑どこかな、箸は?醤油差しは?」とカミさんに尋ねて「水屋にあるでしょ」と教えられても、すぐに見つけられたためしがない。これまでは片付けた本人ではないから、と思いこんでいたが、そうか視野が狭いせいか・・・目からうろこが落ちて少しは視野が広がった気分である。

 で、いったい今回のテーマはなんなの、という声が聞こえそう。
 まあ、電車が脱線したら大変だけど、話はいくら脱線したって実害はないことだし・・・ということでご勘弁を。

【2000年5月現地、2001年2月記】


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