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名古屋鉄道


 今年(2000年)4月1日の土曜日の朝は、名鉄新岐阜駅に近いビジネスホテルで迎えた。エイプリルフールであるが、もちろん岐阜に行ったのはウソではない。前日がたまたま東京出張だったので、その帰途、岐阜に途中下車したのであった。いや、そこまで言うと少々ウソになる。正直に言うと、休みをひっかけられるように、金曜日が出張になるように仕組んだのであった。何も知らずに一緒に出張して、「じゃあ、俺は用事があるから」と東京に置いてきぼりにした若い部下こそいい面の皮である。
 それはいいとして【よくない!:部下談(^^;】、前夜、名古屋で新幹線から在来線に乗換え、岐阜駅へ。岐阜へは仕事で何度か来る機会はあったが、名鉄の新岐阜ばかり利用していて、JRの岐阜駅で下車するのは久しぶりだ。いつのまにか高架駅になっていて、かつての面影はない。高架はどうやら従来の線路の南側につくったようで、こちらは駅を出たつもりなのに、一旦昔ながらのステーションデパートに入って、改めて駅前に出るという妙な距離ができていた。ステーションデパートにしてみたら、肝心のステーション自体が移動してしまい、はしごを外された気分であろう。

新岐阜駅前にて
朝陽を浴びて新岐阜駅前に進入する780形。
 さて、4月1日の岐阜は、朝から快晴、絶好の取材日和であった。
 ホテルを出て、新岐阜の電停に行ってみると、今日は斉藤道三祭り?のパレードのため、市内線は昼から駅前には乗り入れず、徹明町で折り返すと書いてある。一般の利用者にとっては、不便なことかも知れないが、鉄ちゃんにとっては、こういうイレギュラーなことがあると、おもしろい光景が見られそうだと心が浮き立ってしまう。何とも哀しき性である。
 駅前の様子を数枚写真に収め、市内線で忠節に向かう。たまたま、運転を終えて忠節に帰る運転士さんが同乗していたので、話しかけてみる。その内容は本にも書いたが、ここでも少しふれておこう。
「甲乙両方の免許(ちなみに甲種が鉄道線、乙種が軌道線)をお持ちですが、どう違うんでしょう」
「同じ電車なんだから、ほとんど違いはありませんよ。法律が違うくらいです。まあ名鉄ではステップを切替えるので、見た目が少し変わりますが」
「どちらを運転するのが好きですか(今から思うとちょっと品のない質問であった)」
「軌道線は気を使うからね。ハンドルを切ってよけられる車と違って、ブレーキだけが頼りだから。できれば軌道線は運転したくないんですよ」
「電車は止めるのが一番難しいんですよね」
「乗車率や天候によって利き方が違うし、岐阜は雪が多いので、冬場の融雪剤も滑りやすいから難儀します。北海道でもツーっと滑って大変らしいですね」
丸窓電車
これだけ1980年に撮影。丸窓で有名な510形。
今はほとんど走ることはないようだ。(忠節にて)

 実は融雪剤のことは、札幌・函館を取材した駄菓子さんからも聞いていて、雪国は大変なんだと思っていたが、まさか岐阜でも同じことを言われるとは。路面電車にとって、融雪剤は本当に悩みの種のようだ。
「岐阜は軌道内に車が入れるから大変ですね」
「道路が狭いしね。警察も電車は車と同じだということで、特別扱いしてくれないし。おかげで朝のラッシュ時は右折車のおかげで、信号をひとづずつ待たなくてはいけないくらいです。犬山みたいにせめて長良川だけでも専用橋にしてくれると助かるんですが」
 岐阜市内線は、安全地帯もないし、車も軌道内入り放題だと、傍から文句を言うのは簡単であるが、実際に運転を預かる現場が一番大変な思いをしているのだろう。
 そんな話をしているうち、忠節に着いてしまい、詰所に引き上げる運転士さんに別れを告げた。

忠節でのステップ切替
忠節では、軌道線用のステップ(左)で乗降した後、
鉄道線用のステップ(右)に切替えて揖斐線に向かう。
 市内線は忠節が終点で、ここから揖斐線となるが、揖斐線の美濃北方、黒野までの電車はほとんどが市内線からの直通で運転されている。ただ、法律的には忠節が軌道と普通鉄道との分岐点で、名鉄社内では軌道部と鉄道部という名称で区分している。
 乗ってきた電車も、揖斐線への直通電車であったが、一旦、ここで途中下車してみる。さきほどの運転士さんから聞いたステップの切替などの様子を見て、次の黒野行きに乗車する。そして、黒野から本揖斐行きの電車に乗換え、かわいい女子高生と出会うのであるが、そのことは趣味の合う話に書いたので、ここでは省略。

パレード
徹明町折り返しの電車を横目にしてパレードが続く。
病院というのぼりからみて、看護婦さんたちかな。
 黒野から帰る頃には、もうお昼過ぎになっていて、ちょうど乗車した電車から徹明町折り返しになると運転士がアナウンスしていた。
 徹明町で下車し、折り返す電車を見送る。当たり前のように渡り線を戻る姿は、期待に反して?おもしろい光景とは言いがたいものであった。
 しばらくすると、パレードが始まった。地元の学校や企業が参加して、楽隊あり、バトントワラーあり、お神輿ありと、どこが斉藤道三なんだ・・・なんて野暮なことを言うのはやめよう。そんなパレードと電車をからめて何枚か写真を撮って、少し遅い目の昼食を取る。さあ、次は美濃町線だ。

<つづく>




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