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有馬街道の紅葉


 1年半ぶりの余談。
 いったい同窓会はどうなったのか、と聞く人もいないだろうけど、本題に入る前に簡単に報告を。
 いやあ、楽しかった。30年以上経っているのに、全然変わらないなあ、という人もいれば、全くわからない人もいて。
 総じて女性陣が、いい意味で見違えるほど変わっていたのも興味深い。
 あの村下孝蔵の世界は、互いに「老眼だ」と言い合って、時の流れは無情などともったいぶるより、おかしくて腹を抱えて笑ってしまった。
 まあそんなところで本来の余談に。(というのも変な言い方)

■       ■       ■

 昨秋(2008年秋)のある日、職場で、たまたま近所に住む同僚から話しかけられた。
「今年の紅葉はきれいだよね。家族でどこか紅葉狩りに行こうって話をしたら、家からの景色で充分、ってことになったよ」
 そう、それは私も感じていたことだ。
 もともと六甲山系の紅葉は、標高の加減なのか、植生の問題なのか、正直言って今ひとつぱっとしないと思っていたのだが、この年はくっきりとした色合いに染まり、思わず息を呑むほどだったのである。
 特に、かの同僚と同じ神戸の北に住んでいると、その感は強い。
 巷で言われていたとおり、台風の上陸もなく、潮風が吹き上げなかったこと、11月下旬にかなり冷え込んだことが相乗効果となったのだろう。
有馬街道
 その神戸の北のエリアと海岸部の市街地とを結ぶ一般道は、国道428号線、通称『有馬街道』が唯一と言っていい。
 この有馬街道の沿道から望む山の色合いも、例年に比べて際立っている。
 何度か車で通るうち、やはり写真で残したい、という思いが強くなってきた。こんな気分になるのは神戸の北に居を構えて10数年、初めてのことである。

 寄ったのは、有馬街道の旧道のひとつ。
 もちろん、そのあたりの紅葉が美しいこともあるのだが、有馬街道の実態は、歩道もない2車線の山道である。400番台の国道だから、しかたないのかも知れないが、それでも神戸の北に住む人間には生命線と言える幹線道路である。朝晩は激しく渋滞するし、昼間でもひっきりなしに車が通るので、怖くて歩く気がしない。
 一方の旧道は、たまに地元の車と路線バスが走る程度で、のんびり歩けるのである。
 そう路線バス・・・ここでつい鉄ちゃん根性がもたげてしまい、バスをからめて紅葉を撮ろう、というのが本音であった。

阪急バス
 まずやってきたのは、神戸駅行きの阪急バス。なんとなくこの路線は神戸市営バスと思い込んでいたが、阪急バスとの共同運行だったのだ。
 次のバスも阪急バスだったので、市バスまで待ちたいところであったが、この日は用事の合間に立ち寄っただけなので時間がなく、一旦引き上げる。

 数日後、ちゃんと時刻表で市バスの時刻を確かめて、出勤前の早朝に寄ってみる。
 まずは神戸駅行きの市営バスが下りてきた。さすがにバスの形式にはうといのだが、日野自動車のワンステップバスのようだ。

神戸行き市営バス

鈴蘭台行き市営バス
 今度は同じ市バスの鈴蘭台行き。この形のバスは有名なのですぐにわかる。逆光の写真で、特徴ある前面が陰になってしまったが、いすゞのキュービックバスである。
 神戸市バスの中でも一大勢力を誇っていたが、キュービック自体の生産が終わったこともあって、徐々に数を減らしている。この361という番号を付された市バスも、最古参に近い。

 次の神戸駅行きは阪急バスであった。
 電柱や標識、ガードレールなど、思いのほか障害物があり、かなり苦しいアングルで、バスも小さくなってしまったが、山間を下る雰囲気を出したつもり。
 もちろん、ここは神戸市兵庫区。あと2〜3分も走れば市街地である。神戸は街と山が近いことを実感させられる。

山間を下る阪急バス

山間を下る市営バス
 その後の鈴蘭台行きも阪急バスで、構図も最初の写真と似てしまったので割愛して、最後はまた神戸駅行きの市バスを撮る。
 いよいよアングルが苦しくて、ほんのちょっとバスが顔を出した瞬間である。

 こうして慌しく撮影は終了。
 それで会社は間に合ったのか、って?
 実を言うと、ちょっと遅刻・・・。

【2009年2月記】


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