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全固体電池


 話は変わるが、日産からZESP3値上げのメールが届いた同じ6月、トヨタが充電時間10分で1,200キロ走れるBEV用の全固体電池を2027〜28年に実用化する、というニュースが飛び込んできた。聞いた瞬間は、さすがトヨタと感服したのだが、すぐに疑問がわく。そんな短時間で充電できる急速充電器など存在するのだろうか?
 そこで、どれくらいの出力の充電器が必要になるのか、まず全固体電池の電池容量をトヨタの発表内容で確認しようとしたら、まだ仕様が固まっていないせいか全く書かれていない。しかたがないので発表にあった各電池の走行可能距離の一覧表から推測してみよう。その表によれば、次世代電池ではトヨタの現行BEV車BZ4Xの2倍、全固体電池ではさらにその2割増し、つまり現行の2.4倍走れるようになるという。ただ、それは電池性能だけでなく、空力や車体軽量化の効果を含むとあるので、電池容量は2.4倍ではなく2倍と置いてみる。そうすると、BZ4Xのカタログで電池容量は71.4kW/hとあるので、その倍の約140kWhとなる。これを1時間の1/6の10分で満タンにするには、140÷1/6で約840kW/hの充電器が必要になるはずだ。
 いやいや840kW/hの充電器って何!?私の勘違い、計算違い?? 今の一般的な急速充電器は20〜50kW/hで、最近やっと90kW/hの超急速充電器がちらほら出てきたところだ。そんな状況で、桁違いの840kW/h以上の充電器が2027年までに普及するのだろうか。
 またしても変な例えだが、時速500キロを超えるスーパーカーがあるそうで、なんだそれならリニアモーターカーでなくても東京〜大阪は1時間で行けるじゃないか・・・とはならないのと同じで、車の性能を上げてもインフラが追いつかなければ宝の持ち腐れになってしまう。
 仮に840kW/hの充電器ができたとしても、家庭での設置は考えられないので、従来の3kW/hの充電器を使うと満タンまで丸二日近い46時間以上かかる計算だ。もっとも、一日で電池が空になる(1,200キロ走る)ことはなく、実際は走った分だけ充電する今の使い方と変わらないだろう。さらに1,200キロも走れるのだから、遠出をしても途中で充電する必要はなく、高速のSAで充電待ちをするEV車をしり目に素通りできる。その点は容量の大きい電池のメリットと言える。
 それでも、今の充電料金体系では、前頁に書いたとおり極めて高くついてしまう。もしトヨタの普通充電プランで46時間充電したら14,000円近く、仮に日産のシンプルプランだとしても9,000円超だ。急速充電ではもっと高くなり、そうした中で10分で満タンにできる充電器の利用料をいくらに設定するのか。
 結局、前頁と同じ結論になるが、2027年に計画どおり全固体電池を実用化できたとしても、それを宝の持ち腐れとしないために、充電設備などのインフラ、料金体系などのサービスの改善は必須だ。これらについて、果たしてトヨタはどんな解を出してくるのだろう。



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