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補遺

 閉店したコーヒーのチェーン店で、最後となってしまった店長の名誉のために補足しておこう。

 本文に書いたとおり、それまでの店長は、本来の業務と違うせいか、正直なところ、モチベーションが高いとは言いがたかった。
 ただ、最後の店長は、中国人女性ということもあってか、気構えが違っていたのである。
 「いつ来ても店にいるよね」と思わず声をかけてしまったほど、休みなく働いていた。
 おそらくアルバイトが急に休んだりしても、代わりに出勤していたのではないかと思う。
 もともと責任感が強いこともあるのだろうが、他のアルバイトに「ねえ、ちょっと代わりに出てくれない?」と気安く頼めないようにも見えた。生真面目さに少々不器用さを加えたところがあったので、日本人同士のなあなあ気分になじめなかったのだろう。
 そんなところが気にかかり、折に触れて「景気はどう?」とか「春節祭には帰るの?」などと声をかけたものだ。
 もっとも、決まって返事は「厳しいです」「帰れません」というもので、気の毒に思ったものである。

 せっかくがんばっていた彼女が店長のときに、店じまいしてしまったのが、なんとも残念な結果である。

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