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寝台特急 日本海
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 来月(2012年3月)のダイヤ改正で、ついに青森行きの寝台特急『日本海』が定期列車から外れることになった。今月発売された鉄道雑誌は、各誌とも『日本海』の最後の姿を取り上げている。
 毎号、少しだが写真を掲載してもらっているコスミック出版の『鉄道を撮る』の最新号も同じだ。
 今回も、事前に出版社から、大阪駅での停車中の『日本海』の小特集をするという話があり、準備していたのだが、行き違いでちょっと不本意な結果に。実を言うと、記事も必要だろうと、原稿も書きかけていたのに、それも不要であった。
 そのままボツにするのももったいないので、今回は、書きかけの原稿に手を加えて、まとめなおしてみた。

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 数年前の時刻表を引っ張り出してみる。
 そこには、大阪を発着する定期の寝台特急、いわゆるブルートレインが、九州方面では『明星』『彗星』『あかつき』『なは』、東北方面では『日本海』1・3号(下り)と複数設定されている。特急ではないものの、東京方面への寝台急行『銀河』も走っていた。
 それが年とともに櫛の歯が抜けるように減りつづけ、いつの間にか、『日本海』1本のみとなってしまった。歯1本では、もはや櫛の役目も果たせない。同じくブルートレインの役目も終わったと言うことか、最後の1本となった『日本海』も廃止されようとしている。
 青森行き4001列車『日本海』が大阪を発車するのは17時47分。でも、その30分ほど前の17時20分新大阪発『のぞみ382号』に乗って、東京で『はやて41号』に乗り換えれば、その日のうちに青森に着いてしまう。夜行で行く必然性はあまりなくなってしまったのである。夜行列車自体、安価な夜行バスにお株を奪われて久しい。
 でも、やはり座席ではなく、ちゃんと横になりたいと思う旅行者も少なからずいるだろうし、ダイヤを少し見直せば、もっと使いやすくなったはずだ。車両のアコモデーションも、きちんと手を加えていれば、利用者も増えたのではないか。そもそも、JR自身に、その気がないので、ジリ貧になり、それを理由に廃止しようとしているのでは。ついそんな恨み節のひとつも言いたくなる。

日本海 近影shadowshadow


 17時41分、大阪駅の10番線に4001列車が入線する。向かい合う9番線からは、17時45分に野洲行きの新快速が発車するので、大勢の帰宅客が『日本海』には目もくれず、背を向けて長い列をつくっている。そんな光景は、『日本海』の利用者にとっては、旅情もあったものではないが、これが日常の光景なのだ。廃止が近づいた今は、そこに撮り鉄が大挙して加わり、喧騒に拍車をかけている。

日本海 入線shadowshadow


 『日本海』の入線から発車までは、わずか数分しかない。だから、あれこれ撮影しようと欲張ると、撮り逃してしまうかも知れない。ここに載せた写真も、2日に分けて撮ったものだ。

日本海 発車shadowshadow



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