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 ロマンスカー編3/3



ロマンスカー編の最後に、現役車両のことにも少し触れておこう。

7000系LSE
 7000系は、1980年(昭和55年)に登場した3100系NSE車のフルモデルチェンジ車である。
 3100系が最初につくられたのが1963年だから、実に17年ぶりのモデルチェンジである。それだけ3100系の完成度が高かったと言える。そのぶん、7000系の設計には、大きなプレッシャーがかかったのではないかと思う。
 結果的に7000系は、3100系のイメージを踏襲した形となり、変わり映えがしないとも言えるが、個人的には3100系をよりスマートにした7000系も、悪くはないと思っている。
 例によって新幹線との比較で恐縮だが、このあたりも初代0系から100系への進化に似ているように思う。

7000系LSE 和泉多摩川駅を通過する7000系。
登場時は3100系NSEと同様の塗装であったが、現在は10000系に準じたものとなっている。
2001年10月撮影。


 初めて7000系に乗車したのは、登場翌年の1981年(昭和56年)3月のことで、そのときのメモが残っているので一部、転記してみる。
LSE 気のついたこと。やたら明るい。ただ床が白すぎるので、汚れが目立つのは一考を要する。
テーブル、窓の桟が少々どぎつい色だ。座席番号の札の下に赤いラインが入っているのは、白くて単調になりがちな天井を引き締める意味があるのだろうが、凝っている。
シートは少々派手すぎるようだが、形は存分にいい。
窓がやたら大きい。昔ほど低いな、という感じがしないのは、やはり腰高になったせいだろうか。
網棚も懲りすぎだが、ユニーク。
さて、肝心の乗り心地であるが、大して変わらない。モーター音が普通の電車と変わらないヒューンという高音なのもいただけない。車内をこれだけ高級にしたのだから、音もというのは、無理な話か。
 今となっては、メモを読んでも、思い出せない部分も多々あるのだが、ひょんなことからつい最近、7000系に乗る機会があった。7000系は数年前に更新されて、存分にいいとメモしたシートも、新しくなったはずである。ところが、いざ座ってみると、背もたれが薄くて、貧弱に感じてしまう。もちろん更新で質が落ちたというのではなく、この20年間に、他の新幹線などのシートが格段に進歩して、それに慣れてしまったということなのだろう。

10000系HiSE
 10000系の登場は1987年、7000系から7年目のモデルチェンジである。3100系から7000系まで17年かかったのに比べると、ずいぶん早いモデルチェンジであった。
 当時はやりのハイデッカーを取り入れ、運転席が前に寄ったショートノーズとも言えるスタイルは、なかなか押しの強いデザインである。
 ただ、ここまでくると、ちょっとやりすぎかな、と感じたりもしている。

10000系HiSE 先端の展望車がぐいっとくびれた10000系。
前に寄った運転席もあいまって、微妙なバランスのスタイルだ。
2002年1月、南新宿にて撮影。


20000系RSE、30000系EXE
 20000系は1990年(平成2年)、30000系は1996年(平成8年)、共に平成生まれの最新グループだ。それぞれ、JR御殿場線乗入れ用、本線用と、用途こそ異なるものの、それまでの前面展望車や連接構造、赤を基調とした塗装をやめてしまった点が共通している。
 ただ、JR371系と共通運用の20000系はしかたないものの、30000系は従来のロマンスカーのイメージとは完全に異なるゲンコツスタイルで、鉄道雑誌に紹介された写真を初めて見たとき、少なからぬショックを受けたのが正直なところだ。
 今や、その30000系が、ロマンスカーの最大派閥である。かつてロマンスカーといえば観光主体だから、休日のほうが本数が多いのは当たり前だった。それが今では平日も休日も本数はほとんど同じだ。つまり通勤・買物などのいわゆる都市間輸送の色合いが濃くなってしまったのである。その象徴が30000系であろう。
 改めてロマンスカーもずいぶん変わってしまったと感じさせる。郷愁と言われればそれまでだが、少々さみしい思いが胸をよぎるのであった。

30000系EXE 2001年10月、小田原で撮影した30000系。
その色合いといい、デザインといい、ロマンスカーの役割が、華やかな観光だけではなくなったことを如実に表している。





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