仲ノ町駅から次の観音駅に向けて少し歩くと、線路沿いで紫陽花が咲いていた。
その場所で、外川行きのデハ801を1枚。
観音駅は、仲ノ町駅とは一転して洋風の立派な駅舎に建替えられていた。
それでも構内で『たいやき』が売られているのは30年前と変わらない。今は『ぬれ煎餅』が有名だが、『たいやき』のほうが歴史は古いはずだ。
1個90円という手軽さもあってか、クラブ活動帰りと思しき中高生たちが次々に買い求めていた。
つられて私も買ってみる。もともと甘党ということを置いても、なかなかいける。もっとも、結局これが昼食になってしまったのはいけてないが・・・。
銚子電鉄と聞くと、海をイメージしてしまうが、どちらかというと工場・住宅街や郊外の畑の中を走る感じである。
その中で、観音〜本銚子間は、俄然山深い雰囲気となり、乗っていても「おっ!」と目を見張る区間だ。
本銚子付近で、今度は切り通しとなる。
ちょうど本銚子駅の上に歩道橋があるので、切り通しの撮影にはもってこい。
本銚子駅のホームには、2人の若い女性観光客が訪れていた。
「ふ〜ん」という感じで駅舎をのぞきこむ彼女らの目に、この駅はどう映ったことだろう。
本銚子の次の駅は、いよいよ笠上黒生である。
そう、前回会った女の子たちとの再会を期待して、立ち寄ったのである。もちろん、前に撮った記念写真もプリントしてある。
しかし、残念ながら、みんなが遊んでいた空き地に人影はない。
実は、それぞれの家もわかってはいるのだが、直接訪ねるのは気がひけるし、郵便受けに入れるのもどうかと思う。
「またの機会にしよう」と引き上げる。まあこれで再び銚子電鉄を訪れる名目ができたというものだ。
笠上黒生からの帰りの電車は、観光客で立錐の余地もない。
何とか乗り込んで銚子駅に到着。吐き出された観光客は、口々に「いやあ、こんなところでラッシュアワーを体験するとは」と苦笑いを浮かべている。
そんな様子を見て、余計なことかも知れないが、ちょっと心配になる。大勢の観光客が訪れるのは喜ばしいことだが、果たしてどれだけの人がリピーターになってくれるのだろう。
その点、こっちには再び女の子たちと会う、という立派な動機があるので、リピーターの資格十分なんだけどね。
【2008年6月現地、2009年5月記】