発坂から勝山へ戻り、いったんホテルで休憩して、チェックアウトぎりぎりに再出発。しつこいが、これも昨年と同じ行動である。少し違うのは勝山駅で300円のコインロッカーに荷物を預けたことだ。昨年まではコインロッカーはなく、駅の一時預かり410円也を利用するしかなかったのである。コインロッカーができて少し安上がりになったわけだ。
昼の撮影は、白山狙いと決めていた。というのも、早朝の撮影から勝山へ戻る列車の中で、アテンダントから聞いた「白山がこんなにはっきり見えることはめったにありません」とのアナウンスに触発されたのである。
越前竹原の手前で白山がきれいに見えたので、下車して小舟渡側へ歩くが、どうも撮りにくい。かなり迷ったが最後は見切りをつけて踵を返し、下車した越前竹原を通り越して山王側へ。結果的にこれが正解で、途中で視界が開け、線路越しに白山が見通せる場所に行き着いたのであった。
ここでの最初の列車は勝山行きなので後追いとなる。まずはテストのつもりでオーソドックスに横位置で撮ってみた。列車とともに黒柴かな?がとことこ画面に入ってきたのはご愛敬ということで。
その2分後、越前竹原で交換した福井行きがすぐにやってくる。今度は望遠で白山を引き寄せて縦位置で。
もう1往復粘るが、さすがに同じアングルでの後追いは控えて、ちょっと別の場所で撮影し、やはり2分後やってきた福井行きを、少し山王側へ移動して再び横位置で撮影する。
同じような写真ばかり並べて恐縮だが、こうして見ても、最初の後追い写真が最もバランスがいいように思える。あれこれこねくり回すより、最初の直感をもっと大切にすべきだと痛感させられる。
そのまま山王まで歩き、列車でさらに福井側へ向かう。実は前夜、勝山行きの道中、途中駅の北側で周囲の灯りが地面に反射しているのが見えたのである。どうやら広い池があって、水鏡になっているようなのだが暗がりでよくわからない。情けないことに駅名を忘れてしまい、地図を検索しても池らしきものは見当たらない。そうなると列車に乗って一駅ずつ確かめるしかないというわけなのである。
一駅目の越前野中が近づくと、一面に水を張った田んぼが見えてきた。昨夜、池と見間違えたのは、これに違いない。池ではないので地図に載っていないのは理解できるが、この時期に水を張った理由はわからない。
一駅だけで下車するの?と不思議そうな顔のアテンダントに見送られて、何はともあれ越前野中駅に降り立つ。
駅の北側に田んぼがあるということは、田んぼ越しに列車を狙っても、完全逆光である。おまけに思ったより写り込みは判然とせず、水鏡とは言い難い。こうなったら水面の広さを強調しようと広角気味に撮影してみた。
とても満足のいく出来ではないが、ご覧のとおり吹きさらしで、ここで粘る気にもなれず、最後に白山をバックに越前野中駅を発車する列車を撮って、勝山へ引き上げる。
ここまで来たら、徹底的にトレースしてやろうと、昨年一息入れた駅構内の「えち鉄カフェ勝山」へ。ここで食べた紫芋タルトが気に入ったので、同じものを注文する。
ところが「ありません」とのつれない返事。そうか、メニューは変わってしまったのか。しかたない、代わりにニューヨークチーズケーキにするが、これもまたおいしい。
カウンターから外を眺めると、保存された電気機関車のテキ6の愛らしい顔が見える。撮り鉄が目的ではあるものの、こうしてのんびり過ごすのも至福のひとときなのであった。
【2017年1月現地、同年5月記】