mt×岳南電車! 1/4
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ある日、家に届いた郵便物の中に、mt×岳南電車!というタイトルを見つけ、何だろうと手に取ると、意外なことに娘宛のダイレクトメールであった。息子を鉄ちゃんに育てることさえ失敗したくらいだから、もちろん娘は「鉄」とは全く無縁である。見れば、DMはマスキングテープのカモ井加工紙という会社のもので、mtとはマスキングテープのことなのであった。
マスキングテープと聞いて、塗装を連想するのは、私も含めて古い人間か、鉄道模型などをつくる人間だろう。
例えば小田急電鉄の鉄道模型を昔の黄色と紺色のツートンカラーで塗り分けようとしたら、まず車体を黄色でスプレーしたうえで、上半分をマスキングテープで文字どおりマスクして紺色をスプレーすれば、きれいなツートンに仕上がる。白に青帯の新しい塗装の場合は、車体を白く塗って帯の部分だけ隙間を空けてマスキングして青をスプレーすれば、青帯の完成だ。まさにマスキングという名のとおりの使い道で、もちろん塗装が終われば剥がして捨てるだけだから、テープ自体は地味なものだ。
ところが、今やマスキングテープと言えば、装飾用としての人気が高い。要はマスキングテープに様々な模様や色を施し、それを小物に巻き付けたり、大がかりな場合には壁に張ったりするのが一部でブームになっているのだ。
新富士駅で見かけたイベント告知の
ディスプレイ
その火付け役がカモ井加工紙なのである。娘もいっときはまって、倉敷にある同社の工場見学にまで連れて行ったことがある。もっとも、工場見学自体はカミさんと娘の二人だけが参加し、その間、鉄の私は水島臨海鉄道へ向かったのである。それがどうしたと言われそうだけど。
ということで、DMが娘宛なのは納得できるのだが、岳南電車とはどういう関係なのだろう。そこで岳南電車のホームページで調べると、2016年9月28日から10月10日までコラボイベントを開くとある。イベントではmtトレインが走り、特製mt乗車券の販売、岳南富士岡駅前ではmt×岳南電車のマスキングテープなどの販売を行うそうだ。それでも、倉敷のカモ井と遠く離れたローカル私鉄の岳南電車が結びつかない。
本当に偶然なのだが、たまたまイベント期間中に東京への日帰り出張の予定がある。であればいつものように前泊して、朝方にイベントの様子を見ていこうではないか。百聞は一見にしかずである。
本来は出張が目的で、岳南電車はついでなのだから、一眼レフは家に置いてコンデジだけを携行。いや、かつてはそんなことは構わず、出張かばんにカメラバックという出で立ちであった。実のところ、二股かけるのがだんだん億劫になってきていて、歳を痛感させられる。
「去年より面倒くさがりになってるぞ」・・・宇多田ヒカルの「Keep Tryin'」の一節を聴くたびにどきっとさせられるのである。
前置きがやたら長くなった。
mt乗車券とその台紙。1日フリー乗車券となっている。
当日、宿泊した富士駅近くのホテルを6時過ぎにチェックアウト。岳南富士岡駅での販売は10時からだから、急ぐ理由はないのだが、その前にコンデジで撮り鉄もどきをしようという魂胆である。一眼レフは置いてきてしまったが、このあたりにまだ撮り鉄の片鱗は残っている。
富士駅から一駅の吉原駅で岳南電車に乗り換え。出札窓口で一日乗車券のmt乗車券と告げると、「3種類ありますがどれにしますか」と問われる。見れば緑・橙・青と色違いの切符3種類が並んでいる。また唐突に宇多田ヒカルのことになるが、先日発売された8年ぶりのCDアルバムは通常版1種類なのに対して、同時期に出たEXILEのCDは特典別に何種類もあって、その違いが話題になった。そういう意味ではmt×岳南電車はEXILE商法である。それに釣られて3枚とも、と言いかけたが、ここは冷静に宇多田ヒカル路線で、3色の中から青の切符を選ぶ。
そしてまた一駅乗車してジャトコ前で下車。少し吉原に戻った定番のポイントで数本撮影する。しかし、コンデジならではのシャッタータイミングに戸惑い、やっぱり一眼レフを持ってくるべきだったと、ちょっと後悔の念がよぎる。
朝夕のみ走る2連の8000形
最近、京王井の頭線風に塗り替えられた7000形が富士山をバックに吉原へ向かう。
数日前に富士山に初冠雪とのニュースを聞いたが、この日は山頂にも雪らしきものは拝めなかった。
コンデジなので早めにシャッターを切ったが、逆に早すぎて車体やパンタグラフが架線柱にかかってしまった。