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平成筑豊鉄道2017
内田三連橋から折り返してまた崎山へ向かう。
八幡神社へ行ってみると、さすがに昨日の軽自動車の姿はなく、鳥居を二つ入れて撮るには好都合だ。さっそく鳥居の前で構えるが、障害物がないのだから、神社の前らしく擬宝珠が並ぶ八幡橋を入れようと少し下がる。すると、こんもりとした鎮守の森も入れたくなってきた。そこでさらに下がってまたもやシンメトリーの構図に。しかし、その結果は当然ながら本題の二つの鳥居ははるかかなた。足し算がいかに本題をぼかしてしまうかを示す好例、いや悪例である。
今度こそ鳥居をメインにしようと撮りなおす。ただ、線路の両側にある二つの鳥居と列車を絡めるのは意外に難しい。ここは割り切って構図をもう少し右側に絞り、列車を鳥居と重ねてしまってもよかったかも知れない。
天気もいいので、前日暗くなってしまった沈下橋でも撮りなおしてみた。あくまで沈下橋がメインなので、菜の花の足し算は控えたが、橋の大きさがわかりにくいかも。誰か渡っていてくれれば比較できたのだが、実際の幅は、ちょっとふらついたら足を踏み外しそうなくらい狭い。
沈下橋のたもとで、地元行橋から来たというご夫婦と出会った。夫婦で撮り鉄かと思ったら、バードウオッチングだそうだ。周辺には人家も多いので、バードウオッチングには適さないように思えるが、
「意外に珍しい鳥も見られるので、遠くから来る人もいるんですよ」とのこと。そうだ!珍しいで思い出した、
「そういえば、昨日ここでこんな鳥を見たんですが、なんていう鳥なんでしょう?」と画像を見せると、
「ああっ!ヤマセミじゃないですか!!」
おお、これがあのJR九州の新型特急・・・じゃなくて、特急名の由来にもなった「ヤマセミ」。そうかこの鳥がヤマセミだったのか。
「何度来てもなかなか出会えないのに、うらやましい」そう言われて、ついドヤ顔をしてしまったが、典型的なビギナーズラックというものだろう。何しろ鳥の名前もわからないまま撮ったのだから。
ということで、もったいぶった「ヤマセミ」の写真を。望遠で撮っても小さいのでかなりトリミングしたおかげで粗い画像だ。旦那さんが持っていた500mmの望遠レンズなら、もっときれいに撮れるだろう。でも、残念ながらこの日、ヤマセミは姿を見せなかったのであった。
撮りなおしばかりだが、犀川〜崎山間の菜の花へも再びやってきた。前日の反省から少し左手から撮りなおそうと思ったのである。午後遅めになれば、その左側に陽が当たると予想したとおり、光線も問題ない。
しかし、またここで大きなミスを犯してしまう。本当に40年以上も撮り鉄をやってきたのか、と呆れられそうで恥ずかしいのだが、時刻表を見間違えていたというか、勝手な思い込みをしていたのだ。
平成筑豊鉄道では、11時台以降、毎時16分に犀川で上下列車が交換する。だからひとつ先の崎山駅は上り列車が毎時12分、下り列車が毎時21分発になる。上り列車が先に来て、すぐに下り列車が来るという感覚だ。現地に立ったのは16時ごろ。当然同じダイヤと思い込んで、先にやってくるはずの上り列車を狙って、崎山駅側を向いて構えていた。16:10ごろ、背後から列車の気配がして、おかしいなと振り向くと、下り列車が近づいているではないか。一瞬、訳が分からず呆然としてしまい、出遅れてしまった。いかん、とにかく撮らなくちゃ、と焦って構えたせいで左に寄るのを忘れてしまう。その結果、前日とほとんど同じような写真になってしまったのであった。
撮影後に時刻表を確かめると、16時台は下り列車の時刻が繰り上がって崎山で交換するダイヤになっている。夕方にダイヤのパターンが変わることはよくあることなのに見逃してしまうとは、本当に情けない。
そして先に来ると思い込んでいた上り列車。完全な逆光になってしまうので、手前の菜の花の前ボケでごまかす。これももうちょい左へ寄ればいいのに、菜の花のかかり方が中途半端。
自分でも気づいているのだけど、どうにもしつこい性格で、はっきり言って粘着質である。そう、次もまた前日の撮りなおし、あのヤギのいた河原へ向かったのである。前日は直前に曇ってしまったが、今日なら光る河原が撮れるに違いないと思ったのであるが、あれれ、ヤギが昨日とは違う場所にいる。考えてみれば当たり前で、同じところばかりでは食べる草もなくなってしまう。その日、ヤギたちがいた場所から列車は見通せず、あきらめて川面に姿を映す列車だけを撮る。
夕暮れを迎え、いよいよ最後の撮影だ。撮影場所は、ご推察どおり昨日と同じ高屋川の橋梁である。前日撮り損ねた夕焼けを期待したのだが、この日も夕焼けとは程遠い色合いだ。なんとも残念なので、それっぽく写真を赤く修正してごまかそうと思ったのだが、それでは先ほどのヤギならぬ、サギである。ということで、下の写真は手を加えず正味の色とした。
日没後はあっという間に暗がりが襲ってくる。うかうかしていると足元さえ覚束なくなりそうだ。少し急ぎ足で引き上げ、神戸への帰途に就いたのであった。
【2017年3月現地、同年6月記】