もう30年近く前の高校時代、2ヶ月間ほどだが喫茶店でアルバイトをしたことがある。店では一緒に働いていた年上の女の子が、お気に入りのレコードをいつもかけていた。それは1960年代に活躍したロックバンドのドアーズ。
ドアーズと言えば、あのフランシス・F・コッポラ監督の映画『地獄の黙示録』のオープニングで流れる『The End』という曲が有名だろう。後に歌詞の意味を知り、その倒錯した内容に卒倒しそうになったものだ。とても女性好みのバンドとは言えそうもないが、なるほどその女の子はどこか独特の雰囲気を持っていたことを思い出す。
それでも、毎日聴かされていたこともあって、ドアーズの旋律が耳に残り、実はこの原稿もドアーズを聴きながら書いているのである。
やけに思わせぶりな前振りであるが、どう落ちをつけるつもりなのか・・・。
ドアーズは、邦題『ハートに火をつけて』という曲でブレークしたという。そう、これが落ち、つまり久しぶりの鉄ちゃんだった
『箱根登山鉄道』で、鉄ちゃんハートに火がついてしまったということなのである。
それだけのために前振りをひっぱったのかって? いや、大井川鐡道訪問の動機が単純すぎるので、ついついもったいぶってしまって・・・。
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「さい****です」
「え?斉藤さんですか?」
「いえ、さいたま県警です」
「し、失礼しました。少々お待ちください」
静岡駅近くのとあるレンタカーの窓口、いやでも隣のやりとりが聞こえてくる。埼玉から出張捜査なのか、がっしりした体躯の男二人が周りを気にして小声で話すのが、かえって目立っている。それにしても、車なら地元の静岡県警に借りたらいいのにと思うが、やっぱり縦割り組織だから無理なのだろうか?
そんなことより、いい加減本題に入ろう。
大井川鐡道は井川線に的を絞っていたので、鉄道会社には申し訳ないけれど、本線の金谷〜千頭をショートカットして、レンタカーで井川線に直行することにしたのである。今回は撮影中心のつもりだったので足の便も考えてのことであった。その甲斐あって、静岡から国道362号線で山越えして、千頭まで1時間弱であっけなく着くことができた。
さて、今回のレポートは、どの程度参考になるかわからないが、撮影ガイドを兼ねて、それぞれのポイントを紹介していこうと思う。
最初の撮影ポイントは、土本〜川根小山間。この区間は屈曲した大井川に沿って大きなカーブがあることを事前に地図で調べ、雄大な光景が見られそうだと期待していたポイントである。【撮影場所の詳細地図は
こちら】
で、実際にその場所に立って愕然。うっそうと木が生い茂り、とてもカーブを見通せない。そんな木々の合間からかろうじて撮ったのが下の写真。
次はアプト区間のアプトいちしろ〜長島ダム間に向かう。
アプトいちしろ駅は公道から外れてしまうので、狙うのは『ローカル私鉄なるほど雑学』で駄菓子さんが紹介してくれた長島ダム駅に近い『いちしろ橋』だ。【撮影場所の詳細地図は
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ちょっと列車が小さすぎるので、同じ列車を別の角度で撮ってみた。(でも、やっぱり小さい)
そして向かったのは、奥大井湖上駅。その名のとおり湖上にぽつんとある駅で、車では近づけないので、対岸の道路から狙う。このあたりも定番の撮影ポイントである。【撮影場所の詳細地図は
こちら】
写真の右端に少し見えているのが奥大井湖上駅。このポイントは午前中は完全な逆光になってしまうので、午後の方が撮りやすいだろう。それにしてもまた列車が小さい。