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鹿島鉄道 エピローグ
廃止数ヶ月前になって、初めてくりはら田園鉄道へ行った人間が言える筋合いはないが、廃止になるからといって、直前にでかけることはあまりしないようにしている。
撮影が主目的とはいえ、ローカル私鉄の普段着の姿も楽しみにしているので、やはり鉄ちゃんの喧騒は避けたいと思うからである。
だから鹿島鉄道の廃止は本当に残念に思ったものの、遠く神戸の地で静かに見届けるつもりであった。
しかし、2007年1月、テレビ東京系『ガイアの夜明け』のローカル私鉄特集の中で、鹿島鉄道が沿線住民に見捨てられた鉄道として放映されたのをみて、火が付いた。
見捨てたわけじゃない!やっぱり行かなくちゃ!!
そして1月下旬、出張に引っ掛けたのはいつものとおりであるが、これが最後の撮影になることは間違いないので、奮発?して1日有給休暇をとったのであった。
前夜神戸を発って土浦まで向かう。着いたのはもう夜半なので24時間営業のレンタカー店で車を借りて、そのまま土浦のホテルに宿泊。
翌朝、少しゆっくり目に出発し、桃浦の霞ヶ浦を見下ろすポイントで朝の2連、11列車からスタート。ここは約30年前、関東鉄道鉾田線時代に撮影したなつかしい場所でもある。
眼下に鉄ちゃんが数人見えるが、無論それは覚悟の上、自分だって鉄ちゃんなんだからね。
このポイントは基本的に逆光で、もしかしたら朝なら車体に日が当たるのではと期待したが、やはりそれはかなわなかった。
その2連の折り返し14列車を今度は浜〜玉造町間で狙う。
列車を待っていると、鉄ちゃんがひとり、やってきた。大きな三脚に雲台を3つも載せてあり、それぞれ1眼レフ、デジタル1眼、6×7をセットして気合が入っている。
キスデジで手持ちの私とは月とすっぽんの態勢であるが、無視するのも大人げないので声をかけてみると、気さくなだけでなく、なかなかの情報通であった。
「明日の2連は定期で往復した後、貸切が入っていてもう一度2連で往復する予定なんですよ」などと教えてくれた。
そんな話をしているうちに、列車のやってくる時間となった。
今度は車体に陽は当たっているものの、キハ714の特徴のある正面の湘南窓が陰でつぶれてしまっている。
「鹿島鉄道は意外に条件のいいポイントがないんですよね」とは彼の弁。