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小湊鐵道(後編)
その後、上総牛久〜上総川間の内田川の土手に向かう。
この場所も前回、撮影に失敗してしまったので、そのリベンジのつもりであった。
というのも、前回の道中の県道から、ちょうどこの土手が見えたので、てっきり小湊鐵道の築堤と思い込み、カメラを構えていたら、列車は築堤の後ろから上半分だけ見せて走り去ってしまったのである。
えっ?狐につままれたような気分で築堤に登ってみると、そこは単なる土手で、線路はその裏手だったのだ。
それでも、土手一面の土筆が印象的で、そのときは時間がなくて引き上げてしまったが、土筆をからめて撮りたい、今回はリベンジだけでなくそういう目的もあったのである。
ただ、アングルが難しい。土筆は一面に広がっているのだが、離れて撮ると、さすがに小さすぎて、ただの草むらにしか見えない。しかたなく地べたに寝そべるようにカメラを構えて上下2本の列車を撮ってみるが、どうも納得のいく写真にならない。
どうする?次の上り列車は2時間後だ。でもここで帰ったら後悔するような・・・え〜い、もう1本だ!
結局、この土手で3時間近く過ごすことになってしまった。
こうして意地で撮った上り列車、確かに土筆は大きく写っているが、強調しすぎじゃない? かわいいはずの土筆がなんだかグロテスク。
次の下り列車は、今の上り列車と上総牛久での交換でやってくるので、待ち時間は知れている。
土手には桜も植わっていて、ほんの数輪だけ花をつけている。やはり満開は1週間後だろう。
最初はその数輪の桜の花を入れて撮ろうと思っていたのだが、たまたま、ご近所の家族だろうか、土筆採りがてら、土手の散歩にやってきた。
踏切の警報機の音が聞こえ出すと、お父さんが「ほら、電車が来るよ」と、お嬢ちゃんを肩に乗せた。
これを撮らない手はないと、アングルを変えて、家族連れの後ろ越しに1枚。
ちなみに列車のすぐ傍でうずくまっているのは、その家族のおばあちゃん。列車には目もくれず、土筆を採っていたのであった。
これで、桜の様子見と土筆という目的は果たしたが、まだ日暮れには早いので、上総久保〜高滝間の跨線橋へ行ってみる。
うまくすれば、高滝湖が望めるかも知れないとの思いがあったのだが、行ってみると欄干には身の丈以上の金網が張られていて、かなり厳しい。
なんとか手を伸ばせば金網の上に届きそうなので、カメラを両手で思いっきり持ち上げてノーファインダーで構える。
でも列車が来て、はたと気づいた。それこそ、はたからは、線路に物を投げ落とそうとしているようにしか見えないのでは?
案の定、写真を拡大してみると、列車の運転士が「おいおい、何をやらかす気だ?」という顔でこっちを見上げている。本当に申し訳ないことをしてしまった。
高滝の後は、上総鶴舞付近に取って返す。
水田に水が張られていたので、水鏡を狙ったのであるが、畦道に邪魔されてしまった。もっと近寄ればよかったか。
最後は、また海士有木の夕陽で締めたいところだが、ぽつぽつと雨が降り出してきた。
車を走らせて海士有木に近づくと、雷鳴がとどろき、土砂降りに。
こりゃたまらん、と尻尾を巻いて五井に舞い戻ったのであった。