天気が良ければやりたいことがあった。沿線を歩きながら撮ることだ。なんだそんなことかと言われそうだが、これまで雨ばかりで、とても歩く気になれなかったのである。
松葉駅に車を置いて、羽後中里へ向けて歩き出す。
まずは桧内川を渡る橋梁。事前に地図で調べて、すぐ横の道路橋から撮ったら、川を見通せておもしろそうだと思ったのだが、いかんせん近すぎて、窮屈な感じだ。せっかくの2連も、うしろ1両をカットせざるを得ず。
松葉〜羽後中里のほぼ中間地点で、予め目星をつけていた集落に入るが、列車を見通すのは難しそう。そんなことをしているうちに時間がなくなり、羽後中里近くの橋梁で撮影。
かように予定していた場所へ行ってみると、実際は撮りにくかったりして、思っていたより撮影に手こずる。車でさっと移動することに慣れてしまったせいかも知れない。
でも、この日も快晴で、うららかな日和の中を歩くのは、なんとも気持ちがいい。たとえ列車の撮影が今いちでも、鮮やかな紅葉、澄み渡る青空を見ているだけで、贅沢な気分に浸れるのであった。
羽後中里をすぎると、また桧内川を渡る。せっかく紅葉の山々が広がっているのに、橋があると、そこで撮りたくなってしまう。考えてみたら、松葉を出発してから撮影したのは、特に風情があるわけでもないコンクリート橋ばかり。何とも偏りすぎである。
さらに進むと、築堤の先に、こんもりとした紅葉の山がある。線路沿いの草で列車が隠れそうなのが気がかりだが、時間もなくなり、そのまま撮影。案の定、最初に考えていたアングルでは、車体が半分隠れたまま。例によってズームを広角に引きながら近づく列車を連写して、一番まともなのが、このショット。
当初の構図と大きく違ってしまったので、この写真は、かなりトリミングしている。