さすがに同じアングルばかりでは食傷気味となり、これまで撮ったことのない場所を探すことにする。。
次の列車まで2時間近くあるから、時間はたっぷりある。あちこち歩きまわって、最後は戸沢駅から少し上桧木内寄りの場所に決める。
写真左手の大きな杉の木は戸沢駅からもよく見える。バックの山の頂部にもう少し紅葉が残っていてくれればよかったのだが、それでも、周囲の見事な紅葉に目を見張る。春の桜だけでなく秋にも毎年のように通うのは、もはや撮り鉄目的と言うより、純粋に紅葉を見たいという気持ちのほうが勝っているような気がする。
その場所から振り向くと、ススキが広がっている。次の上り列車は、さきほどの3両編成が折り返してくることはわかっていたので見通しのいい場所を選ぶ。
さすがに同じ失敗は避けたつもりだが、列車がど真ん中のいわゆる日の丸構図で、先ほどのカラマツといい、こういう構図が多いように思う。工夫が足りないと言われそうだが、主題が列車なのだからいいじゃないかと開き直るしかない。
再び2時間待ちとなるが、秋の陽は短く、その間に日が暮れてしまう。ということで、角館〜羽後太田間の築堤に戻って恒例の夕焼けを狙うが、ほとんど赤くならなかったので写真は省略。
この日の宿は、角館駅前のJR系列のフォルクローロ角館である。直前にキャンセルが出たので、2泊目はこちらにして変化をつけてみたのだ。
翌日の天気予報を見ると、よりによって明け方は雷雨だという。翌朝、おそるおそるカーテンを開けてみると、確かに雨が降った痕はあるものの、雷雨ではない。どうしようかと迷った末に、ぎりぎりになって、えいと起き出して、あたふたと角館〜羽後太田の築堤へ向かう。
しかし、現地でカメラバッグを開いて、自分が大ポカをやらかしたことに気づく。前夜、メインカメラの画像をチェックして、ホテルのデスクの上に置いたまま出てきてしまったのだ。バッグに残っているのはサブカメラ、それも標準ズームレンズはメインカメラに付けたままなので、広角か望遠という究極の選択になってしまう。本当にあわてるとろくなことにならない。
そういうときに限って、夜明けが近づくと、空が幻想的に染まっていく。メインカメラを忘れたことがちょっと悔やまれるが、来てよかったと素直に思う。
しかし、これもお約束ではあるが、列車が来る頃になると雲が厚くなり、前日とあまり変わらない結果となってしまった。
ホテルに舞い戻って朝食。今朝はビュッフェスタイル、いわゆるバイキングだが、前日以上に外人客でごった返している。ホテルの人に尋ねると、「今の時期は日本人より多いんですよ」とのことであった。「角館」という地名は、日本人の間でもそれほど知名度は高くないように思うのだが、どうしてここまで外国人に知れ渡ったのだろう。でも、そのおかげで間違いなく町は活気づいている。古いホテルを建て替えた「町家ホテル」はその好例だ。
ホテルをチェックアウトして、武家屋敷通りの様子をちょっと撮影してから、角館の町を出る。