翌日の時間帯ごとの天気予報ではずらっと傘マークが並び、唯一6時台のみ曇りとなっている。
それに賭けて角館〜羽後太田の築堤へ出かけてみると、多少は朝焼けらしい雰囲気が出てきた。列車は雲と同化して真っ黒だが、雨を覚悟していたのだから贅沢は言えない、ありがたく撮影させてもらう。
天候が優れないのなら、前年と全く同じ展開であるが、柿の木で彩りを添えようと、羽後太田〜西明寺間へ行ってみる。
これも前年に感じたことだが、柿の木は見ず知らずの家の庭先にあることが多く、カメラを向けるのは憚られる。他に撮影に適した場所はないか探していると、六本杉踏切付近の線路端に柿の木を見つけた。ここなら気兼ねなく撮れそうだ。ただ、足場が取りにくく、撮影した上りの急行「もりよし」は、なんとなく窮屈な感じになってしまった。
その日は、いっとき晴れ間が広がり、虹まで出始めて小躍りしたのだが、ほんの数分ではかなくも消えてしまい、結局ずっと雨模様。午後遅くには傘も役に立たないほどの土砂降りで撮影を諦めたり、何ら成果のないまま3日目が終了。
その翌日も、しつこく六本杉踏切へ向かう。下り列車ならうまく撮れそうだという目算で、柿の木の下で構える。広角レンズで柿の実をできるだけたくさん入れて、右下に単行の列車を配置する構図で狙うが、やってきた列車はまさかの3両編成。焦って画角を調整してぎりぎり収めた結果、これまた窮屈な仕上がりに。
上の写真では青空ものぞいているが、それも束の間で、やはり雨が続き、天候が回復する気配はない。
やむなく羽後太田駅前でぼんやりと車内で待機した後、駅近くの柿の木を目当てに傘をさして向かう。本当はもっと近づきたいところだが、足元が悪いので、横着して遠目に撮影する。何とも消化不良だが、これで4日目も終わりである。
最終日も雨。締めくくりはまた羽後長戸呂〜八津間の築堤だ。もちろん今度は上下列車を間違えることはなく、前照灯が点灯していることでもお分かりのように、前から撮っている。くしくも2日目の後追い撮影の時と同じ車両だが、天候の違いと画角を少し変えたことで印象が異なっている。2日目のいかにも秋晴れの高コントラストな仕上がりもいいが、最終日の山に雲がかかり、しっとりとしたも晩秋らしい雰囲気も悪くない。負け惜しみのようでもあるが、そう自分に言い聞かせて帰路についたのであった。
【2021年11月現地、2022年1月記】