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錦川鉄道
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根笠から南桑へ

ガーダー橋を渡る525D
 下車したのは錦町から3つめの根笠(ねかさ)駅。ここから北河内(きたごうち)駅まで沿線を歩きながら撮影することにしていたのだ。
 と言いながら、最初の撮影は、少し錦町側に戻り、錦川支流の根笠川を渡るガーダー橋に寄る。
 しかし、この寄り道が後々の撮影の行程で致命傷になってしまったのである。
 現地に行ってみると、予想に反して陽は当たらないし、アングルも難しい。結局川原に下りて、もし陽が射していれば逆光になってしまう角度で、下り525Dを撮影。できあがりはやっぱり今いち。

 再び根笠駅前を通って錦川を渡り、対岸の国道187号線を歩く。危惧していたことだが、国道には歩道のない箇所が多く、トラックなどが来ると、脇にそれてやり過ごさないとちょっと怖い。
 しばらく歩くと、中年の男性が、沿道でカメラのファイダーをのぞいては、あれこれ構図を定めている姿を見かけた。同じ鉄ちゃんなのかわからないが、声をかけてみる。
「同業ですか?」
「はぁ?」
 と、文字にすると単純な疑問形のようだが、どちらかというと、チンピラが因縁をつけるような鼻にかけた発音だ。まあ、こちらの訊き方が悪かったのだろうと思い直して改めて尋ねる。
「写真を撮っているんですか?」
「あぁ」
 やめた、コミュニケーションは成り立ちそうもない。余計なことをしなければよかった。

 次の列車は11時20分過ぎの530Dだが、思っていた以上に歩みが進まず、予定よりかなり手前で撮る。
 そこでの写真は、川岸の木にスポットライトのように陽は当たっているものの、肝心の列車は山の陰に入ってしまった。根笠のガーダー橋に寄り道さえしなければ、間に合っていたかも知れない。
 ここから先は、国道が線路からしばらく離れてしまうので、同じ場所で527Dを撮り、やっと南桑(なぐわ)駅に向けて歩き出す。
 南桑に着いたときは、とうに昼は回っていて、対岸の駅まで渡る時間も惜しくて、錦川越しに駅の写真だけ撮って、そのまま歩き続けたのであった。

530D(根笠〜南桑間)   対岸の南桑駅
列車に陽は当らなかったものの、
錦川の透き通った川面は印象的。

山の陰になったせいで、まるで密林の中のような写真になってしまった南桑駅。

さらに椋野へ

532D(南桑〜椋野間)
 南桑から数百メートル歩いたあたりで、時間切れ。山に沿って錦川が大きく蛇行するのに合わせて、線路がカーブしたところで上りの532Dを撮る。
 ここも光線は微妙に隠れてしまい、前面にちらっとだけ陽が当たっているだけだ。
 う〜ん、もう少し早く来ていれば・・・。

529D(南桑〜椋野間)
 錦川鉄道では、ほとんどの列車が北河内駅で交換する。その北河内へ向かって歩いているのだから、だんだん上下列車の間隔は短くなっていくのである。
 先の532Dを撮ったのが12時45分頃、そして北河内で交換した下り列車529Dは、13時過ぎには来てしまう。その間できるだけ歩いて、後追いで撮る。
 かろうじて陽は当たったのだが、山の半分は真っ黒だし、アクセントのつもりで入れたススキが、いかにも中途半端。

 このあと、列車間隔はさらに開き、次の上り列車534Dまで2時間近くある。その間に一旦椋野(むくの)駅まで行き、遅い昼食をとる。
 もっとも、近くに食堂などはなく、駅前にあった自動販売機で缶コーヒーを買って、非常食として持ち歩いていたカロリーメイトをホームのベンチでほおばる。ちょっと情けない。
 コーヒーを飲んだせいか、生理現象をもよおしてきたのだが、駅にはトイレがない。最悪は立ち○○か、と思いながら駅周辺を探すと、なぜか自転車置き場の横にトイレを見つけて、ほっと用を足す。
 さすがに洗面はなさそうだと思ったら、昔なつかしい手水器がぶらさがっているではないか。誰が水の世話をしてくれているのだろう、ありがたく使わせていただく。

簡素な椋野駅 椋野駅。
駅舎もない簡素な駅だ。




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