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樽見鉄道〜2017
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谷汲口〜日当
 定番ポイントばかり並ぶが、次は谷汲口駅の桜である。
 ここではしっかり撮ったことがなかったので、今年(2017年)はメインのつもりで出かけてみた。ただ、予想以上の人出で、たまたま空いた駐車場に何とか車を停める。次の下り列車で考えていた撮影ポイントは、構内の保存客車のあたりなのだが、行ってみると、その先の長瀬踏切で既に5〜6人の撮り鉄が構えている。つまり、彼らの邪魔になることは明らかで、そこでの撮影は断念。長瀬踏切で皆と並んで撮るしかないと移動する。
 列車を待っていると、これまた年輩の男性が、私が最初に撮ろうと思った場所へやってきて、三脚を立てた。あらら、まったく後ろの様子を気にしないとは、やはり最近撮り鉄を始めたばかりなのか。トラブルになるのも面倒なので、声をかけることもせず、彼が入らないようにアングルを考え直す。
 「三脚立てたそこの人!」踏切の先客が大声を出して緊張が走る。トラブルに巻き込まれるのは嫌だが、トラブルを見るのも勘弁願いたい。
 「こっちはずっと前からここで構えているんだ、入らないように桜の木の陰に移動してもらえませんか」
 思ったよりも穏やかな口調に、彼も素直に移動して、ほっと胸をなで下ろす。
 こうしてやってきたのは、旧三木鉄道塗色から塗り替えられたハイモ295−617とハイモ230−313の2連。列車の右手奥に、保存車両がそれとなく写っている。


谷汲口を発車する下り列車shadowshadow


 下り列車の撮影を終えると、みなぞろぞろ踏切から移動しはじめる。どうやら、次の上り列車に備えてホームの南端へ行くようだが、それには合流せず、とっとと駅の南はずれの築堤の下へ。
 谷汲口駅を発車して木知原へ向かう上り列車。列車の右手には下車した観光客が列をなしている。そして列車の陰には何人も撮り鉄がたむろしていたのである。
 車両は、樽見鉄道オリジナル塗色から変更されたハイモ313−701。撮り鉄の目で見ると、車体が微妙な色合いに思えたのだが、こうして桜をバックにしてみると、意外に似合う。


木知原へ向かハイモ313−701shadowshadow


 実はこの2両は、ページ1枚目の写真と同じペアの車両なのであるが、2011年4月に撮影したので、塗色が両方とも今と異なっている。谷汲口駅構内で撮影したが、何となく雑然とした出来になってしまったので、今年、撮り直すつもりが断念せざるを得なかったのは前述のとおり。


谷汲口構内にてshadowshadow


 このあとの3枚の写真も、同じ2011年4月に撮影したものだ。
 まずは谷汲口から離れて神海〜高科間の根尾川沿いに見つけた桜の下へ。ただ、目指した場所は、上空に高圧線が走り、どうにも撮りにくい。なんとかごまかして撮るが、写真を見るとやはり不自然で、撮った自分でさえ、もっとカメラを上に向けろよと突っ込みたくなる。


神海〜高科間で根尾川を渡るshadowshadow


 少し場所を移動して、高圧線を避けて撮ってみたが、ちょっと配置が悪い。橋の上の列車にこだわってしまったが、桜右手の築堤上で撮ったほうがよかったかも。


根尾川のほとりの桜shadowshadow


 高科〜鍋原間で、山あいにまるで打ち上げ花火のように咲いている桜が気に入って撮ったもの。
 樽見鉄道は何度も根尾川を渡るが、写真のトラス橋には「第四根尾川橋りょう」と銘打たれていた。


高科〜鍋原間にてshadowshadow


 最後の写真は日当駅の桜。ここも有名なので寄ってみたのだが、撮影は駅北側でオーバークロスする道路に限られることがわかり、少々がっかり。もちろん、その道路には撮り鉄がずらりと並んでいる。おかげで撮り鉄特有の習性を目の当たりにすることになったのである。
 線路の真上の道路には人の背丈ほどのフェンスがあるので、皆それを避けて構えているのだが、一人だけ巨大な三脚を立て、これまた背の高い脚立の上からフェンス越しに、周囲をへいげいするかの如く構えている。さらに、おもむろに剪定鋏を持ち出して、線路沿いの雑草刈を始めた。線路内に立ち入るのは御法度なのは言うまでもないが、近寄りがたい空気を存分に発しているので、口を挟むのはやめておく。
 片や、おそらく初心者であろう年輩の撮り鉄の姿も。「そろそろ列車が来る時間ですよ」という声に、その撮り鉄が「さあ、撮りましょう!」と、こともあろうに私の目の前に立って構える。いや、そりゃ確かに前は空いているけど、状況を考えようよ。どうやら初めての撮影のようで、かなり気分が高揚している様子。それに水を差すのもどうかと思い、自分が横へ少し移動する。何せ目の前に立っているのだから、数十センチ動けばいいだけだ。


日当駅の桜shadowshadow


 撮影後、最もまともな?撮り鉄と言葉を交わす。
 「いやはや大変な騒ぎでしたね」
 「このシーズンは仕方ないんでしょうね」
■   ■   ■

 これで撮り歩きは完結である。
 なんだか別府鉄道と同じような撮り鉄の生態論になってしまったのはご容赦を。

【2010年〜2017年撮影、2017年9月記】

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