最終日、天気はまた曇天に逆戻り。桜はもはや散り果てているし、なんとも贅沢な言いぐさだが、撮り鉄も食傷気味となってきた。
念のため、撮り逃していた前郷駅の桜を見に行ってみても、案の定、ほとんど花は残っていない。
どこかのテレビ局だろうか、大きなビデオカメラを積んだワゴン車がやってきたが、いささか当てが外れた様子。ほんの2日前までは、満開だったのに、本当に散るのが早い。
そうとなれば、車は前郷駅に置いて、乗り鉄に変更だ。由利高原鉄道では、このシーズンだけ「鯉のぼり列車」が走っている。せっかくだから、乗ってみることにしよう。
この日の「鯉のぼり列車」は、矢島発9時49分。まだ時間があるので、前郷駅で1日乗車券を購入して、いったん久保田駅に寄って、上下1本ずつを撮影。乗り鉄に変更と言った舌の根も乾かぬうちに撮り鉄する節操のなさも、自分らしい。朝令暮改どころか朝令朝改では、何の自慢にもならないが。
久保田から終点矢島へ向かい、いよいよ「鯉のぼり列車」に乗車する。
車内は、ロングシートにテーブルを置いただけの簡素なつくりながら、天井や窓に飾り付けられた鯉のぼりなど、手づくり感があって、ほのぼのしたムードだ。
鯉のぼりと言えば、これまでの写真でお気づきと思うが、由利高原鉄道では、このシーズン、すべての駅に竿が立てられ、元気に泳いでいる。
おそらく鉄道の経営は厳しいはずだが、その中でも観光客を一生懸命もてなそうという心意気が感じられて、とても好感が持てるのである。
矢島駅では、名物売店のまつ子さんが旗を振って、発車の見送りをしてくれる。
一方の車内では、アテンダントが出迎えて、乗客ひとりひとりに記念品まで配ってくれる。手にしてみると、これもまた、手づくりのミニ鯉のぼりであった。
それにしても、車内で応対するアテンダントがとっても初々しい。帰ってから調べてみたら、やはり今年の新入社員であった。
ということで、最後は、お約束の?アテンダントの写真で締めくくろう。
【2012年4〜5月現地、同年9月記】