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■運賃箱
最近の路面電車は、ほとんどがワンマン運転なので、運転席横の運賃箱は見慣れたものだ。それでもラッシュ時に、終点で大勢の下車客を運転士ひとりがさばくのは、時間もかかって大変である。そこで電停側に運賃清算機を設置してしまおう、というのが広島電鉄である。ホームに集金専門の係員を配置し、清算機を使って集金するのだ。写真は広島駅前で撮ったものであるが、なかなか立派な機器であった。
そしてもうひとつは、運賃箱ではないが、筑豊電鉄のホームに設置されていた整理券発券機。これも通常は電車内に置いて、乗車時に整理券を取るスタイルが多い。でも、筑豊電鉄は連接車ばかりなので、たくさんの発券機を電車に積むよりも、各駅に設置するほうが合理的だと考えたのだろう。
ということで、発券や集金を車内ではなく、その前後でさばく例として、広島電鉄・筑豊電鉄の2つを並べてみた次第。
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左)広島電鉄の運賃清算機
右)筑豊電鉄の整理券発券機
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■列車無線
列車無線を積んでいる路面電車はいくつか見かけた。列車無線というと、電車に据え付けられているというイメージがある。
でも、伊予鉄道で使っていた列車無線は、まさしくトランシーバーで、運転士が持ち運んで、運転席横のホルダーにすこんと入れておくのだ。トランシーバーといっても、当たり前だが感度も良好で音量も充分。単線区間で、対抗列車が遅れているからしばらく待機するように、という信号所からの指示も、狭い車内ゆえよく聞こえる。運転士が改めて「行き違いの電車が遅れていますので、しばらくお待ちください」と車内放送しても、乗客はみな先刻ご承知といった按配であった。
コントラストのない、わかりにくい写真で恐縮であるが、
画面中央の少し右に傾いたアンテナが列車無線のもの。
■通票
小道具の締めくくりは通票。現在ではおそらく名古屋鉄道と土佐電鉄だけしか使われていないはずだ。もちろん、かつては各地で使われていて、例えば岡山電軌の資料室にも昔の通票が展示されていた。ただ、棒状の通票で、今の丸いキャリアに見慣れた目には、一見しただけでは気づきにくい形状であった。
単線区間で通票を交換する姿は、風情のあるものだが、電車の安全運行には欠かせないものである。そういう意味で、通票を小道具として紹介するのはふさわしくなかったかも知れない。
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名鉄揖斐線の運転台に置かれた通票。
吊り下げられたビニール袋の中身は
たぶん運転士さんの昼食。
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【2001年8月記】