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西鉄北九州線・筑豊電気鉄道
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この原稿を書いている今は2001年1月、早いもので『がんばれ!路面電車』の取材を始めてから1年以上経ってしまった。その間、昨年12月に西日本鉄道の北九州線は廃止されてしまい、本で紹介したばかりなのに、残念ながら『思い出話』になってしまった。
2000年2月、鹿児島、長崎の取材を終えた私は、特急『かもめ』で博多に戻り、快速電車で折尾に向かった。JRの折尾駅は、蒸気機関車が入線してきてもおかしくないくらい、昔のままの風情であった。
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確か黒崎駅で撮影した1000形
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一方の西鉄北九州線の乗り場は、ちょっと探さないと分からない雑居ビルの中である。乗り場案内の看板にしたがって階段を上ると、ゲームセンターがあって、本当にここでいいのか?と思う。すると、さらに上の階段からパラパラと人が降りてきた。電車が到着したのだろう、どうやらこの上でいいようだ。
西鉄北九州線に乗るのは、実に25年ぶり。当時は北九州線の名に恥じない総延長44.3kmの路線を誇っていたが、順次廃止され、残されたのはこの折尾〜黒崎間の5.0kmだけになってしまっていた。
で、25年前にその北九州線を全線乗ったのかと言えば、なんと皮肉なことに折尾〜黒崎間しか乗っていない。当時、周遊券で旅行していたので、国鉄の駅に接続するこの区間を話の種に乗っだだけなのであった。今にして思えば、本当に残念なことをしたものだ。
ということで、北九州線の折尾駅も25年前に来たはずなのだが、当時をまったく思い出せない。駅の様子が変わりすぎているせいと思いたかったが、単に自分の記憶力の乏しさに原因がありそうだ。
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折尾駅に停車中の646号
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3階のホームで待っていたのは、646号であった。本にも書いたとおり、折尾を発車すると、駅間が長いこともあって、相当なスピードで走る。スピードを増すにつれ、ツリカケ式特有のうなる音が「カーッ、カッ、カッ、カッ」と甲高くかすれた音になっていく。そのかすれ音は、昔乗った国鉄72系などの旧型電車がスピードを上げたときと同じで、妙になつかしい。
路面電車でツリカケ式は珍しくないのだが、かすれ音にまで達することはまずない。それほど北九州線の電車はスピードを出していたのだ。
黒崎駅は、巨大な駅ビルを建設中で、北九州線はちょうど1階に乗り入れるよう切替えられたばかりであった。今はもう、そのビルも完成していることだろう。取材当時から北九州線の廃止は噂されていたが、このビルを見て、「こんな立派なビルに乗り入れる工事をしたのだから、安泰だ」なんて安心してしまった。もちろん、それは後で誤解と気づかされるのであるが・・・
黒崎駅前で昼食をとり、西黒崎まで歩いて車庫を訪れる。しかし、人気がなく、勝手に入るわけにもいかないので、そのまま筑豊電鉄へ向かったのであった。