翌日、混合列車狙いで前日と同じ芦野公園〜川倉間の築堤へ向かう。
下り列車をメインイベントと考えていたからだろう、フィルムをリバーサルに入れ替え、気合の入った撮影だ。とはいえ、気合に反して構図に何のひねりもなく、平凡な写真だ。
同じ場所で津軽中里から折り返してくる上り列車を待ち受ける。その間、高校鉄研の後輩たちが築堤の残雪を滑り降りる遊びに興じていた。そりなどはないから、ダイブして身体だけで滑るという高校生らしいやんちゃな遊びだ。
私自身は当時、クールな先輩を演じていたので、子供の遊びを見守る親のような顔をして見ていただけ。なんて、ついかっこつけて書いてしまったが、怪我をしそうで腰が引けていたのが本音だ。
上りの混合列車はモノクロフィルムに戻して撮影したが、いかにもタイミングが早すぎる。
本番は、先のリバーサルフィルムの下り列車だったので、上り列車は少し趣向を変えて次のカットにあるように流し撮りを狙ったのだ。そのためにこの写真は撮影後すぐにシャッタースピードを落とせるよう、少し早めにシャッターを切ったのである。
こうして流し撮りにチャレンジしたのに、今度はタイミングが遅すぎて、先頭の機関車すら画面に入りきっていない。同じ列車で通常撮影と流し撮りを狙うことはよくするのだが、ことごとく失敗している。まさに二兎を追う者は一兎も得ずである。
その後の写真は、これといったものがないので、省略して翌日の津軽飯詰駅のことから。
改札口の傍には、りんごの箱が積まれ、まさに青森県らしい光景に小躍りして撮影。停車中の列車では、ちょうど駅員が運転士へタブレットを渡している。
スノーシェルターをくぐって、列車が入線する。
当時のスノーシェルターは、丸太を櫓のように組んだ好ましい構造であった。