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コスト比較あれこれ充電契約について書いてきたが、そもそもガソリン車と比べた場合、さらに家庭で充電した場合と比べて、どれくらいコスト差があるのだろうか。走行1キロ当たりのコストで比較してみよう。
ガソリン車であれば、ガソリン1リットル当たりの単価と走行可能距離(いわゆる燃費)で求められる。つまりガソリン単価が160円、プリウスの平均燃費25km/Lとすれば、1キロ当たり(160円÷25km=)6.4円だ。
同じように電気であれば、1kWh当たりの単価と走行可能距離(なじみが薄いが、これを「電費」と言うらしい)で求めればいいのだが、まず家庭の電気料金は、言うまでもなく基本料金と従量料金、これに燃料調整費などが加わり、使用量の多寡に応じて単価も変動するため、単純には出しにくい。WEBで一般家庭では平均27円/kWhとの記事を見かけたが、ここでは少し高めの30円/kWhとしておこう。そして私のプリウスPHVの電費は7.8km/kWhなので、1キロ走行に必要なコストは30円÷7.8kWhで3.85円となり、ガソリンよりもはるかに安価だ。
厄介なのが外部充電の料金で、前ページで書いたとおり、単価は電力量ではなく時間のため、まずは時間当たりの充電量を求めるしかない。ところが、街中の普通充電器の出力はだいたい3kWh程度なのだが、急速充電の場合は20〜50kWh、最近では90kWh以上の超急速充電器もあり、見た目は同じでも中身はバラバラ。さらに受け入れる車側にも能力差があって、リーフなどのEV車は50kWh以上なのに対し、プリウスPHVは20kWh程度に抑えられているのだ。
変な例えだが、飲食店で仮に10分間食べ放題と言われても、提供される料理が少なければ、食べられる量が限られる。一方で、一気に料理を出されても、早食いでなければ食べきれない。プリウスPHVの急速充電がそれで、もし90kWhの超急速充電器で充電したとしても、20kWhでしか充電できないのである。う〜ん、やはりややこしいので時間ではなく1kWh当たりの単価にして欲しいと思うが、どうやら電力量に応じた料金とすると二次売電とみなされ違法なので、充電器を時間貸しする名目にして回避しているようだ。なんだかなあと思うが、やむを得ないので、ここでは自分のプリウスPHVの実績で比較してみよう。ということで、コスト比較は一般論ではなく、あくまで一例としてみてもらいたい。
とは言ったものの、当然ながら走行距離次第で単価が大きく変わり、例えば月額2,750円のZESP3のプレミアム10の場合、月間100キロしか走らなかったら2,750円÷100km=27.5円と割高となるが、1,000キロ走ればその1/10で2.75円と家庭で充電するより安上がりとなる。このため単価ではなく、走行距離に応じたコストをグラフ化してみた。なお、ZESP3のプレミアム10〜40については、便宜上それぞれの急速充電量を契約限度内に収める前提とした。急速充電がオーバーした場合を考慮すると訳が分からなくなるためで、結果的にあたかも定額のような横一線のグラフとなってしまった点はご容赦を。
グラフのとおり、見限ったトヨタのプランは論外として、ZESP3のプレミアム10の場合、月間走行距離430kmくらいでガソリン、720kmくらいで家庭充電と交差、つまりプレミアム10のほうが有利となる。また、同じZESP3のシンプルプランとは、490kmくらいで逆転する。いずれも私にとっては微妙な走行距離で、月間430kmは走るにしても、車通勤をしなくなった今、720kmを超えることはまずない。ということは、普段は素直に自宅で充電して、どうしても外で充電する場合に備えてシンプルプランにしておくほうが、今の使い方にはふさわしいようだ。慌ててプレミアム10を契約する前に、ちゃんとこういう計算をしておくべきだった。
今年初めにはトヨタから新型プリウスが発売され、スポーティーなデザインで話題を呼んだ。プリウスPHVもPHEVと名を改めて登場したが、驚いたことに急速充電ができなくなっている。そうか、高速ではガソリンを使って走れと言うことで、トヨタはカミさんの味方だったのか。そうなると、いよいよ契約見直しは必須なのかも知れない。
電気か水素か?