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電気か水素か?
電気で走る車の種類がいろいろあって混乱するためか、これまで単にEVと呼んでいたバッテリーのみで走る電気自動車をBEV、いわゆるハイブリッド車をHEV、プラグインハイブリッド車をPHEVと区別するようになってきた。新型プリウスのプラグインハイブリッド車がPHVではなくPHEVとなったのもその流れだろう。
その中で、今後はガソリンなどの化石燃料を一切使わないBEVが主流というのが大方の見方だ。現に欧州では2035年以降のエンジン車の販売を認めない・・・その後少し規制を緩めたものの、基本的にBEVなどの電気自動車しか販売できないことになり、方向性ははっきりしている。
でも、本当にそうなのだろうか。特に日本では夏場はいつも電力供給ひっ迫と騒ぎとなり、そこに車用の電気を割く余裕などないように思える。そもそも日本の発電所の7割は化石燃料で発電しているのだから、その電気を使った車がノーカーボンとは言い難い。トヨタの豊田会長が、完全BEV化に懐疑的な姿勢だったこともうなずけるのである。
とはいえ、化石燃料を使い続けるべきと言うつもりはない。では何を使うのか、水素を使った燃料電池車FCEVか、水素やバイオ燃料、欧州が例外的に認めた合成燃料などを使ったエンジン車か。選択肢が多すぎて混とんとしている。
ここからは、文系で特に化学が苦手だった私の戯言を。
BEVの有力な対抗馬は水素で走る車ではないだろうか。日本でもまだ少ないながらも水素ステーションが設置されつつある。ただ、肝心の水素をオーストラリアなどから輸入するという点が引っ掛かる。水素は今呼吸している空気にも含まれているし、日常的に使う水も水素と酸素の化合物で、身近な存在のはずだ。自分でガソリンは作れないが、水素なら私にだって水を電気分解して作ることができる。
もちろん、水の電気分解には大量の電気が必要なため現状では割が合わず、かのイーロン・マスク氏が「水素を使う(燃料電池)なんて馬鹿だ」と切り捨てたのは有名な話だ。でも、何とか水をもっと簡単に分解できないものだろうか。車のタンクに家の蛇口から水を入れれば、水素と酸素に分解されて燃料電池やエンジンが動くなんてことになれば素晴らしいのだが。それが実現すれば車だけでなく自家発電などにも流用でき、世の中が一変するゲームチェンジャーになることは間違いない。まあさすがそこまで言うと、戯言どころか妄想の域だろうか。
電気で走るとしても、鉄ちゃんの発想だが、道路沿いの電柱に電線が張り巡らされているのだから、それを使えばいいのにと思う。さすがに車にパンタグラフを付けるわけにはいかないが、無電柱化を兼ねて電線を道路下に移し、非接触型の給電装置を設ければ、走りながら充電できて、バッテリーの残量を気にせず走り続けられる。実際に非接触型の給電装置は研究が進められているそうで、これは本当に実現するかもしれない。
混沌とする方式の中から、何が覇者となるのだろう。BEVがこのまま独走するのか、はたまた対抗馬が逆転するのか予想はつかないが、きれいごとを言えば、複数の方式が残って切磋琢磨し、ユーザーが使いやすいほうを選べればいいと個人的には思っている。