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結局、縄文杉には10分もいたかどうか。少し戻って登山道沿いに設けられたデッキのようなところで昼食をとり、あとはひたすら荒川登山口を目指す。
帰りに寄ったウイルソン株の有名なハート形。
アングルが今いちで微妙な形のハートだけど・・・。
途中で膝をひねってしまったものの、小杉谷までは二人に何とか付いていく。しかし、そこから歩幅の合わない枕木を歩き出して、ついに膝が悲鳴をあげた。少し歩いては膝をさすって休憩。鉄ちゃんでありながら線路が恨めしい。よれよれになって荒川登山口にたどり着くと、待ちくたびれたカミさんと娘に「17時のバスに乗るから」と急き立てられ、余韻に浸る間もなくバスに乗り込む。結果的に終バスより早く乗れたのであるが、往復でやはり10時間かかったわけだ。
宿に帰って、何はともあれシャワーを浴びて一息入れると、じわじわと満足感というか達成感がこみ上げてくる。それは縄文杉もさることながら、難行苦行をやり遂げたような感覚に近いのであった。
翌朝も好天に恵まれ、山の緑や空の強烈なコントラストが目にしみる。素晴らしい星空といい、空気が澄んでいるからだろうか。40年前の写真のコントラストがきつかったのも、そのせいだったのかと改めて納得する。
これで3日間晴天続きで、このメンバーでは奇跡的と言える。体調も膝は一晩では治らないが、意外に筋肉痛はない。カミさんと娘もまだ歩けるというので、宮崎駿が「もののけ姫」のイメージづくりに何度も通ったという白谷雲水峡へ。本来は太鼓岩まで5時間コースなのであるが、さすがにそれはパスして1時間の弥生杉コースを歩く。弥生杉とは昨日の縄文杉より年代が浅いという意味で命名されたに違いない。
上) 白谷雲水狭で、まさかの岩場。
でも、見かけより登るのは楽であった。
小さく写っているのは、とっとと先を行く
カミさんと娘。
右上) 弥生杉。
縄文杉とは逆に、近すぎて幹の一部しか
撮れなかった。
右) 白谷雲水狭から帰る途中、道端で見かけた
屋久猿の一家?
白谷雲水狭から下山後は、ガイドブックで見つけた「樹林」という喫茶店で昼食がわりの軽食をとる。あとは「八万寿茶園」というお茶屋さんでソフトクリームを食べたら空港へ行って、いよいよ屋久島も終わりだ。と思ったら、「樹林」で娘が突然、海に行きたいと言い出した。しかたなく店の人に尋ねると、空港の先の「ふれあい公園」から海に出られるという。ついでに土産物屋を尋ね、これも空港に近い「ぷかり堂」を紹介された。
ふれあい公園からの眺め。
ごろごろした石の上を歩くと膝が疼き、
情けないことに海まで近寄れず・・・。
予定外の「ふれあい公園」で海を見て「八万寿茶園」へ行き、「ぷかり堂」で土産物を買ったら、今度こそ終わりだ。ところがどっこい、娘が今度は「ぷかり堂でブレスレットが作れるんだって」と言い出す。おいおい17時の飛行機まであと1時間ちょっとしかないんだぞ。「30分で作れる」というのを信じてブレスレットを作り、車を返して空港に着いたときにはもう16時半を回っていた。ぎりぎり・・・。
最後の最後にじたばたするのは、いつものこと。帰るのが惜しくなるんだよね。その気持ちはこっちも同じだから、よくわかる。
後ろ髪をひかれる思いのままJACのボンバルディア機へ。久しぶりのプロペラ機の細かな振動に揺られながら、伊丹空港への帰途についたのであった。
屋久島空港を離陸
※これから縄文杉登山を考えられている方へ参考までに。
ガイドブックでは重装備を推奨しているが、そこまで構えることはないと思う。有名な縄文杉だからと軽い気持ちで来てはいけないということだろう。
もちろん、そのとおりなのだが、小学生の団体も元気に往復していたくらいだから、歩く時間は長いものの、普通に歩けば誰でも行けるはずだ。もっとも、最後はひいひい言いながら歩いていた私の説明では信憑性はないかも知れないけど・・・。
ただ、本文では触れなかったが、実は快晴であったのに、山中では雨に遭っている。やはり山の天気は変わりやすく、合羽などの雨具は必携だ。