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プリウスPHV
棚ざらえ中とはいえ、今さら旧型(20系)プリウスの話を引っ張り出すのも気が引けるので、1年ほど前に買い換えたプリウスPHVのことを少々。
前にも書いたが、20プリウスをそろそろ買い換えようと思った矢先、フルモデルチェンジした50系のデザインが、どうにも受け入れられない。娘からも「絶対買わないで」と釘を刺される始末。そして少し間を空けて発売されたPHVが、同じ車体ながら、フロントやリアのデザインが全く異なり、ノーマルのプリウスに比べれば抵抗感は少ない。とはいえ、もろ手を上げて気に入ったわけではない。にらみを利かすようなヘッドライトに、レクサス風のスピンドルグリルで押しが強すぎるのである。最近は、トヨタに限らず、細長のつり目のヘッドライトに大口を開けたグリルという顔つきが主流だが、もっと穏やかで親しみのあるデザインにならないものだろうか。
参考までに、従来乗っていた20系と並べてみた。こうして見ると、同じプリウスなのかと思うくらいデザインが違う。
のっけから文句になってしまったが、そもそもデザインで決めたのではなくPHV、つまりプラグインハイブリッドだからというのが本音だ。そういう意味では、とても満足している。20系でもモーターだけで走るEVモードはあったものの、ほんの数百メートルしか走れず、どうしてもエンジン音を消したいときに使う程度であった。それが、50系PHVでは、満タン充電で68.2キロというカタログ値で、坂道の多い神戸では評価しにくいのだが、感覚的にはまずまずの域に達しているように思う。
何より20系(おそらく30、40系も)では、始動時には必ずエンジンの暖機運転が入るため、ちょい乗りすると、通常のガソリンエンジン以上に燃費が悪くなることがあった。それが、PHVではEVモードにすれば、基本的に最初からモーターだけで走れるのでストレスがない。もちろん、そのまま高速道路に入っても、まさにEVのように気持ちよく走れるのだ。
調子に乗ってソーラーパネルのオプションを付けてしまったが、元を取れるとは思っていない。家のガレージには屋根もあって、発電効率はきわめて悪く、発電量は1年でたったの約35Kw/h。走行距離に換算して、約280キロでしかない。でも、太陽光で車が走るなんて愉快ではないか。家の屋根に太陽光パネルを敷いてPHVに充電したほうが効率がいいと言われたら、身も蓋もないけれど。
悪い癖で、EVモードにはまると、極力ガソリンを使わずに、電気だけで走ろうとしてしまう。ショッピングセンターなどでは、無料の充電スタンドもあるのでなおさらだ。おかげで車のログを見ると、ガソリンの燃費は200キロ/リットル以上で、カタログ値の37.2キロ/リットルを大きく上回る。出先で見ず知らずの人から「PHVの燃費って、どれくらいなんですか」と聞かれて、答えに窮したこともある。
ただ、工場勤務時代に比べると、走行距離は大きく減って、この1年で6千キロ程度。購入時に、ついガソリンを満タンにしてしまったが、使い切れず、劣化が心配になって、先日10リットルだけ補充して、希釈したのであった。
1年間のガソリン代と自宅や有料充電スタンドでの充電コストを積み上げると約1万6千円で、走行距離が約6千キロだから、1キロ当たり2.7円となる。ちなみに20プリウスの実燃費は約20キロ/リットルだったので、燃料代に換算すると約6円/キロだ。PHVのほうがコストパフォーマンスが高いように見えるが、イニシャルコストが違う。20プリウスは当時200万円、一方のPHVは、一声400万円で、60万キロ以上走らないと差が埋まらない計算になる。これも太陽光と同じく、元を取るつもりはないのだが、価格差は電池代のようなもので、PHVの内装が価格にふさわしい質感とは言い難い。
ついでに言えば、トヨタ自慢の車体フレームTNGAも、走行性能重視の低重心のおかげで座面を一杯に上げても、20系より見通しが悪く運転しづらいのだ。ディーラーでそのことを口にすると、「ですよね、だから座布団を何枚も重ねているお客さんがいますよ、アハハ」と笑われてしまった。いやいや笑い事ではない。ファミリーカーに走りは求めていない、運転のしやすさだろう。このあたりにデザインも合わせてメーカーとユーザーにずれが生じているような気がする。
また文句に戻ってしまったが、EOS Rの項で書いたとおり、カメラが一眼レフからミラーレスに移行しつつあるように、車もエンジンレス、すわなちEVへの過渡期のように思える。どれも機械から電子機器に変わっていくんだなあと、しみじみ感じながらハンドルを握っているのである。