更新の間が、しばらく空いてしまった。
でも、これといった話題もないので、長くお蔵入りさせてしまった原稿をいくつか拾い出してみよう。
ということで、今回は「蔵出し」という題名にしようと思ったのだが、かの
駄菓子さんがすでに「蔵出し鉄道写真館」として使っている。二番煎じは気がひけるので「棚ざらえ」とさせてもらった。
蔵の最も奥から引っ張り出した原稿の題名は「FM fan」。その名のとおりFM放送の雑誌のことで、クラシックからポップス・歌謡曲まで、あらゆるジャンルの音楽情報誌という体裁であった。それが私の雑多な音楽の聴き方とマッチして、意外に重宝していたのである。
あるとき、同誌のコラムで、かつてエアチェックは、FMラジオの前にテープレコーダーのマイクを置いて録音していたとあった。うわぁ同じことをしてる!と、にわかに親近感を覚える。
1970年代前半の中学時代、普及型のラジオやレコーダーには入出力端子なんてものはなく、そうするしかなかったのだ。なので、録音中にうっかり物音などたてようものなら、音楽と一緒にガサゴソと雑音が入ってしまう。そんな情けない録音をしているのは自分だけだと思っていたのに、まさか同類がいたとは。見ればコラムの筆者は同年代で、なるほどと納得。
ただ、原稿はそれ以上話がふくらまず、2001年1月付けでお蔵入り。その年、FM fanは廃刊となってしまった。その名を聞いて、音楽雑誌だと思い当たる人も、今や少数派かも知れない。
駄菓子さんの蔵出し写真は、まさに熟成された作品だが、私の原稿は蔵の中で腐ってしまった典型例である。
同じように古い原稿が「アポロ13号」
実話を元にした映画の話で、実は15年ほど前に初めて買ったDVDが「アポロ13号」なのだが、うまくまとめられず、お蔵入り。
せっかくなので、その映画で最も心に残ったシーンだけ触れておこう。宇宙船の爆発事故で地球への帰還が危ぶまれ、悲嘆にくれるジム・ラベル船長の家族に対して、年老いた母親が毅然と言い放つシーンだ。
「例え洗濯機で空を飛んでいても、ジムは着陸させるわ」
いきなり洗濯機では意味が通らないかも知れないが、要はどんな困難な状況でも息子は必ずやり遂げるということ。息子を信じる母親の強い思いに、目頭が熱くなるのであった。
愛車のトヨタのハイブリッドカー2代目「プリウス」も書きかけのまま。思いつくまま書き連ねているうちに冗長となり、お蔵入りというか、推敲が面倒になってほったらかし。そうしている間に10年以上の歳月が流れてしまった。
ちなみに10年以上乗り続けて、走行距離も14万キロを超えた。そろそろ買い換えかと思っていたところに、折りよく4代目の新型プリウスが発売された。しかし、あのぶっ飛んだデザインに、ちょっと引いてしまったのが正直なところだ。どうしようか・・・。
「ハゲタカ」も長くお蔵入りしている。
真山仁の小説であるが、取り上げたのは2007年にNHKで放映されたドラマのほうだ。滅多にTVドラマは観ないのに、このときは何となく気になって観たあげく、どっぷりはまってしまったのである。日本のドラマにしては展開が早く、45分間、息もつかず画面に見入り、エンディングテーマが流れて、ふうっ〜とため息をつく。毎回そんな調子で、DVDも揃えて何度も観てしまった。
それで原稿を書き出したら、やはりどんどん長くなって収拾がつかなくなり、これまたお蔵入り。
ただ、「ハゲタカ」にまつわる個人的なエピソードもあるので、ささいな出来事ではあるものの、原稿を短く書き直そうとは思っている。
蔵の中で、最も新しいのは1年物の「青梅線」
題名からして、よもやま話に載せるつもりであったが、それには内容がふさわしくないなとお蔵入りさせていたものだ。
次に古い原稿が、2年物の「いきつけの店」
得意分野のはずが、どうも落ちがつかず、そのままとなってしまった。
実はいずれも原稿自体はほぼ書き上げていたので、この機会にふたつを次項から続けて載せようと思う。そしてできれば「ハゲタカ」も。
なお、「青梅線」は、ほとんど手を入れていないが、「いきつけの店」では、「先日」を「一昨々年」と書き直している。