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■C地点(山陽色素工場)
山陽本線、さらに山陽新幹線の高架をくぐると、有名な山陽色素のレンガづくりの工場が見えてくる。廃線跡探索のハイライトと言える場所だ。
もっとも、レトロなレンガづくりの工場目当てでここを訪れたら、無骨なモノレールの高架に、眉をひそめることだろう。
せめてコンクリートむき出しの姿を隠さんとばかり、この付近だけ高架橋には蔦がからまり、足元にはひまわりが並んでいたのが印象的であった。
ちなみに左側に見えている高架橋は、山陽新幹線のものだ。
<注>現状について
訪問から少し間が空いたので、念のためモノレール跡の現状を調べて愕然。一部高架の撤去や山陽色素工場の解体工事が始まったというのだ。
自分の目で確かめるべく、今年4月上旬、姫路での会議出席の機会に立ち寄ってみた。確かに一部高架が撤去され、山陽色素のレンガ工場は、右の写真のとおり防音シートで覆われている。
なんということか・・・。いつもの悪い癖でアップを先延ばししているうちに、ここまで状況が一変してしまうとは。
一方で、何十年も先送りにしていた訪問を、昨年夏に実現したのは、ぎりぎりのタイミングだったわけだ。何か見えない力に導かれたような気がする。
■D地点(大将軍駅)
C地点から、すぐの場所に、唯一の途中駅であった大将軍駅を呑み込んだ有名なマンションがある。駅徒歩0分のふれこみで入居した人たちも、肝心のモノレールがあっさり廃止されてしまうとは、夢にも思わなかったに違いない。
まさに梯子を外されたとしか言いようがない。姫路側には高架も残っていて、マンションから吐き出されたように伸びる軌道敷は、シュールな光景だ。そう言ってしまうと、入居されている方には申し訳ないのだけれど。
もちろん、駅には入ることはできないが、隙間から垣間見ると、「大将軍」と書かれた駅名票も残っているようだ。もしかしたら、この駅も、手柄山駅と同様、当時のままなのかも知れない。
■E地点(高架下商店街)
シュールと言えば、さらに姫路駅に近いこのエリアもなかなかだ。
「昭和」の匂いが立ち込める路地に入ると、商店街の頭上で、モノレールの遺構がへいげいしている。
はてさて、建物と高架と、どっちが先に作られたのだろう。橋脚の根元は建物に隠れて見えないが、どういう構造になっているのか、さらに権利関係は? 廃業したはずなのに、つい不動産屋根性が頭をもたげてしまう。
上の写真で、左手にちらっと山陽電鉄の高架橋が見えている。一方のモノレールの高架の桁は、そこで途切れてしまう。
その山陽電鉄の高架をすぎると、モノレールの高架は橋脚だけになってしまうが、商店街は同じように続いている。
下の写真は、姫路側から振り返るように撮ったもの。なので、山陽電鉄の高架が右側に見える。それにしても原稿を書いて気づいたのだが、この界隈は「高架」だらけだ。
もう姫路駅はすぐ目の前だが、ここから先は山陽百貨店などが建てられ、モノレールの痕跡は、すべてかき消されてしまっている。
ここまで手柄山からモノレール跡をゆっくりたどっても、1時間ほど。真夏の探索には、これくらいがちょうどいい。短時間であったが、思いのほか中身の濃い探索であった。
さあ、あとはどこか涼める場所で遅い昼食をとるだけだ。昭和から突然現代へワープしてしまったような感覚にとらわれながら、姫路駅周辺の飲食店を物色したのであった。
【2012年8月現地、2013年4月記】