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甘木鉄道2016
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■ 昼の部

 ホテルにいったん引き上げたのは、例によって朝食をとるため。エレベーターに乗って部屋へ戻りかけると、途中階で扉が開き、年配の女性が「乗ってもよろしいですか」とご丁寧に声をかけてきた。「もちろんです」と「開」ボタンを押して招き入れる。短い同乗時間ながら、「お仕事ですか」などと親しげにあれこれ尋ねられ、降り際には「ではお気をつけて」と言い残していく。そうそう、この人懐っこさが九州のいいところなんだ。
 朝食後、ちょっとまったりしすぎて10時チェックアウトぎりぎりにホテルを出発する。甘木駅構内に入ると、留置中のAR303の側面に貼られたキリンビールの広告が目に入った。AR303は、いわゆる国鉄色の朱色とクリーム色のツートンカラーで広告も映える。残念ながらこの日AR303は運用に就いておらず、走行写真は撮れなかったが、それよりこの広告である。福岡育ちというコピーのゆえんである福岡工場は甘木鉄道沿線の大刀洗に所在し、そこには工場だけでなく、広告写真のとおりコスモス畑の「キリン花園」があるのだ。広さ7ヘクタールもの広大な花園に1000万本と言われるコスモスが咲き乱れ、それはそれは壮観なのである。
 キリン花園には別の機会に家族を連れて来たことがある。弟も一緒であったが、下戸の私と違って弟はビール目当てで、畑を散策する私らほったらかしで飲んだくれ、再会したときは顔がコスモス色なのであった。


キリンビール福岡工場の広告shadowshadow


 甘木を訪れた10月下旬はコスモスの最盛期である。キリン花園から甘木鉄道を見通せれば言うことないのだが位置的に無理なので、甘木鉄道に乗車して沿線のコスモスを探すことにする。ところが、コスモスが意外に見当たらない。中間の交換駅である松崎を過ぎても、これといった場所がなく少々焦り出したころ、次の大板井の手前でコスモスを発見。高架の大板井駅で下車して、松崎に戻る感じでその場所へ行ってみるが、どう見ても私有地である。そこでちょうど作業中の方に図々しく声をかけて了解をもらい、何とか撮影する。下り103列車と、松崎で交換してやってきた102列車だ。102列車の車両は塩梅よくピンク色のAR306であった。この車両も朝倉高校の女子生徒がデザインしたそうで、ピンク色も本来は桜が由来らしい。確かに車体側面には桜の花びらがあしらわれている。でも、この時期はコスモス色でいいじゃないか、と勝手に決めつける。
 ところで朝倉高校の女子生徒と言えば、夏のセーラー服が明るい空色で、素敵だったなあ。学生時代は夏に甘木を訪ねることが多かったので、空色のセーラー服は鮮明に目に焼き付いている・・・あれ、何の話?
 何はともあれ撮影を終えて、先ほどの方にお礼を言って後にする。かような事情で、この場所はお勧めとは言えないのが残念なところ。


コスモス畑を行く103列車shadowshadow


コスモス色のAR306shadowshadow



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