やってきたのは、三国芦原線の中角付近。ここも事前に地図で、九頭竜川を渡るために築堤となっていることを確認してきたのだ。我ながら築堤への執着には呆れるが、ここで夕日を狙うつもりなのだ。
まずは九頭竜川を渡るトラス橋で、橋自体は最近架け替えたらしく、現代的な形態であるが、ゆるくカーブしているおかげで、橋がぐっと張り出してくるような感じがして思いのほか迫力がある。
同じくトラス橋を九頭竜川の土手の上から。バックに白山などが見えているのだが、ちょっと霞んでしまった。
車両はMC5001形で、「くの字」の前面デザインの特徴から、遠目に見てもすぐわかる。えちぜん鉄道の前身である京福電気鉄道時代に新造された車両で、同社生え抜きは、もはやこの1両のみだ。実は京福電気鉄道時代には2両あったのだが、2000〜2001年に立て続けに起きた衝突事故で1両は廃車となってしまったのである。
そしていよいよ夕日、と言いたいところなのだが、例によってまったく夕焼けらしい色にならず、そのまま日が暮れてしまったので、ここでは日没前に撮った写真を載せておこう。
夕焼けがだめなら、朝焼けをということで、翌朝、懲りもせず中角付近の九頭竜川の橋梁へ。前日の夕方は順光だった土手に立てば、当たり前だが朝日は逆光となる。写真は朝日がちょうど列車の後ろに回ったタイミングで撮影したもの。車両中央後ろよりの窓が光っているが、ここに朝日がある。もうちょっとギラっと光ることを期待したのだが、そうは問屋が卸してくれなかった。
朝方にここへやってきた目的は、もうひとつある。駅近くの白山神社の鳥居と一緒に撮ることだ。この神社は線路の東側にあって、前日の夕方では逆光になってしまったので、朝にしたわけだ。
こうして撮影したものの、列車は神社のすぐ脇を走るのに今ひとつ見通しが悪く、窮屈な感じになってしまった。
白山神社では、もう1本、アングルを変えて、上の写真には写っていない右手側にある鳥居から撮ってみた。こちらも直交する鳥居など窮屈そうに見えるが、敢えてごちゃごちゃと入れて濃密にした、というのが言い訳である。
これで最近の行動パターンどおり、いったん宿へ戻り、朝食をとってからチェックアウトする。その後は珍しく撮り鉄はお休みにして、永平寺などをのんびり巡ったのであった。
ところで、前回は
「えちぜん鉄道2017」だから、さすがに昨年2018年は行かなかった、わけではなく、実はやはり同じ行程で出かけたのである。
ただ、日程は2月の連休で、そのとき福井は記録的な大雪に見舞われていた。国道8号線で車が立ち往生して2日間以上足止めされたというニュースを覚えている人もいるだろう。
こうした中、なんとか北陸本線が復旧したので福井までは行けたものの、えちぜん鉄道は全面運休で、撮り鉄どころではなく、ほとんどホテルで待機せざるを得なかったのである。だから冒頭に書いたとおり、大雪を警戒していたのだ。
最終日になって、ようやく三国芦原線の福井〜新田塚間のみ、運転再開にこぎつけたのであった。右の写真は、運転再開を待ちわびて、新田塚駅まで行ったときの様子だ。
かように福井では、雪が全くないか、大雪で身動きの取れないという極端な経験しかない。来年こそ、ほどよい雪化粧が見られることを期待しよう。って、もう行く気満々で、鬼が大笑いしている。
【2019年1月現地、同年3月記】