今回もサンダーバードで福井に入り、えちぜん鉄道を訪ねた後は、金沢から東京を経由して神戸へ帰るという行程で、2年前、3年前と全く同じだ。
ただ、前回までは、週末の仕事の後、夜遅く福井に入り、えちぜん鉄道勝山永平寺線の終点、勝山まで行って宿泊するパターンであった。それが今回は逆に休み明けに東京出張が入ったので、休日にゆっくり福井へ行き、レンタカーを借りて、そのまま投宿したのである。
こうした行程には、えちぜん鉄道のダイヤが深く関係している。というのも、勝山永平寺線は、勝山発5時35分の上り始発に対して、福井発の下り始発は6時33分なので、それでは夜明けの撮影に間に合わないのだ。とはいえレンタカーを借りるには、早朝はもちろん仕事を終えて夜更けに福井に入っても営業時間外である。だから、これまでは無理してでも勝山まで行き、翌早朝の上り列車に乗って撮影に出かけていたのだ。それが今回は休日移動で早めに福井に着けるので、レンタカーを利用することにしたのである。
唯一の懸念は天候で、大雪になってしまうと車の移動はできなるなるかも知れない。雪景色が目当てなのに大雪は困るとは勝手な言い分だが、そのわけは最後に記そう。それで今回の結果は?心配ご無用、雪は全くなかったのである。それはそれで複雑な心境であるが。
福井に泊まった翌朝、予定どおりレンタカーで勝山永平寺線、轟(どめき)駅の福井側の場所へ向かう。このあたりは築堤で見通しが良さそうだと予め地図で目星をつけていたのだ。ところが実際に現地に着いて見渡すと、ちょうど陽が昇るはずの山に高圧鉄塔が数本立っている。地図を見落としたせいだが、今さら移動はできないので、そのまま待機。
最初に撮ったのは福井からの下り始発列車で、轟着は7時3分。でも、まだあたりは薄暗く、空が明るくなったのは、下の写真の轟発7時22分の上り列車からだ。ん?ということはレンタカーでなくても、福井からの始発列車でじゅうぶん間に合ったのでは・・・?
轟着7時37分の下り列車がやってくるころ、ようやく山の端から朝日が昇った。上写真とは画角を広げたくらいで、ほとんど代り映えしないが、せっかくの日の出なので載せてみた。空の赤みは落ちてしまった一方、遠くの山々は陽が射していい趣になっている。なかなか両立は難しい。
さすがに夜明け前からの撮影は冷えて、足踏みしたりしてしのいでいたのだが、陽が昇ると体感的にもずっと楽になった。勝山街道沿いに設けられていた温度計の表示は2度で、暖かいとは言い難いが、この時期にしてはましなほうだろう。
このあたりで数本撮った後、線路南側の田んぼが気になり、逆光になることを覚悟のうえで行ってみる。水が張られた田んぼは一部を除いて凍っている。下の写真は、凍っていない箇所を利用して、水鏡もどきにしたものだ。
隣の田んぼは、ほぼ全面凍って、朝日が乱反射してきらきら輝いている。もっとも、シルエットの列車は、背景の集落や山並みと同化してしまうだろう。と、わかっていても他にアングルのとりようがなく、そのまま撮影する。画像処理ソフトで列車を目立たせるように修正を加えたが、これが精いっぱい。
轟での撮影に区切りをつけ、勝山へ向かい、車を置いて隣の比島まで歩く。距離にして約1.5キロと気軽に歩けるうえに、途中、細い道が線路に寄り添い、あたかも併用軌道のような場所もあって、お気に入りの区間なのだ。
まずは、勝山へ向かう下り列車だ。平凡なアングルだが、雪景色が見られなかっただけに、せめて雪山をバックにしようと思った次第。
撮影してから気づいたのだが、列車にも動じず、電線にトンビが悠然と留まっている。
そして、件の併用軌道もどきの場所で、カーブを利用して下り列車を真っ正面から捉える。併用軌道と言うなら、もっと道路を入れるべきなのに、バックの雪山に気を取られ、ついカメラを上に向けすぎてしまい、どっちつかずとなってしまった。
同じ場所で、これまた完全逆光になる上り列車を撮影。広角にしたのは、右手の苔むした岩が気に入って、何とか取り込もうとしたからなのだが、やはり無理やり感がたっぷり。それも本当は上写真の下り列車と入れ換えにやってくる上り列車を撮影するつもりが、ちょっとした事情で失敗してしまい、もう1本粘った末なのである。おかげで最初は太陽が中央の木にかかって、木漏れ日が光芒を放っていたのだが、時間の経過で当然ながら陽は動いてしまい、それもかなわず。もうひと工夫、ふた工夫必要だと自覚しつつ、敢えて掲載した。
この日は好天に恵まれ、白山もきれいに見える。そこで、午後は山王〜越前竹原間で白山をバックに撮影。ここは
2年前にも来た場所で、アングルをいろいろ考えたものの、やはり同じようになってしまったので写真は省略。いったん福井へ戻り、夕方は三国芦原線へ向かうことにする。