今年(2006年)、旧名古屋鉄道の路面電車が転入し、大きく様変わりした福井鉄道。でも、取材で訪れたのは、そんなことは予想だにしていなかった3年前、2003年11月初めのことであった。
仕事を終えて、新神戸駅から18時55分のぞみ自由席で新大阪へ向かい、サンダーバード45号に乗換える。わざわざ1駅を新幹線にしたのは、もちろん乗継割引を効かせるため。大阪〜福井の特急券2610円が半額になるのだから、新神戸〜新大阪の自由席特急券830円を足しても充分お釣りがくるというわけだ。
その日は福井のホテルに直行し、翌朝7時過ぎから活動開始。
最初の撮影は、市役所前駅(電停というべきなのだろうか)から通称ヒゲ線に入り福井駅前に向かう300形。そのスタイルから一目で元静岡鉄道とわかる300形も今はすべて廃車となってしまった。
福井駅前に行ってみると、何やら大掛かりな道路工事中である。尋ねてみると、複線を単線化する工事だという。そう言われて初めて福井駅前が複線であったことを思い出す。
一時期はご多分に漏れず、車の邪魔ということで廃止されかけたが、折衷案とも言うべき単線化で決着したのだろう。そういえば2001年にトランジットモールの実験のため、当時最新鋭の名鉄の800形を走らせたこともあった。それで電車のよさが見直されたのかも知れない。
そして今、その名鉄800形が本当に転籍してきたのだから何やら運命めいたものを感じる。