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一畑電車
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幸福の黄色い旗
『幸福の黄色いハンカチ』にならって、駅員が一人でいるから黄色い旗が!?
秋鹿町駅では、朝のラッシュ時のみ駅員が配置され、それを示す旗なのだ。
その間、運転士は集札の必要がないので、旗を目印に全扉を開けるのである。
 翌朝・・・って、まだ居たの?と言われそうだが、この日は『酔電』が走る。ふふふ、そうなのだ、万一、ツアーが中止になっても、デハニ50形撮影のチャンスを確保しておいたのだ。これぞ鉄ちゃんならではのリスクマネージメントである。
 朝方、なぜか気に入った秋鹿町に再び赴き、通勤・通学風景を撮って松江に舞い戻った後は、松江城などの市内見物としゃれこむ。何せ『酔電』が走るのは夕方なのだから、時間はたっぷりある。

秋鹿町の通勤通学風景


松江城
 と言ったものの、気温は瞬く間に30度を超えて、早々にばててしまい、昼には引き上げて、何とかのひとつ覚えだが、また秋鹿なぎさ公園のレストランで昼食にしようと一畑電車に乗る。
 秋鹿町に近づくと、駅になにやらオレンジ色の電車が止まっているではないか。ま、まさか、と目を凝らすと、やはりデハニ50形、それも52号と53号の2連だ。
 なぜだ?と、秋鹿町で飛び降りると同時に松江しんじ湖温泉に向けて発車したデハニ50形を呆然と見送る。
 プリントアウトしておいたツアーの日程表を取り出して、初めて自分のミスに気づく。1泊2日のツアーということを見落としていたのだ。昨日は出発日で、出雲大社からデハニ50形で松江しんじ湖温泉へ向かうのは2日目、つまり今日なのである。
 あ〜馬鹿馬鹿と自分の頭を叩く。もう昼食どころじゃない、返しのデハニ50形を撮る場所を探さなきゃ。
 バタ電だからバタバタ、とはつまらぬ洒落だが、文字どおりあっちこっちうろうろしているうちに時間切れ。結局、いい加減なアングルでの撮影になってしまった。

デハニ52+53 迷った末に、長江〜秋鹿町間の踏切近くで撮影。
広角レンズのゆがみのせいで、右側のデハニ52の全長がやたら長く見えて妙な感じ。



 最後のチャンスは、雲州平田からの『酔電』の回送だ。昨日の湖遊館新駅付近の田園風景も捨てがたいのだが、やはり宍道湖をバックに走る姿を撮りたい。
 狙いを高ノ宮〜津ノ森間に絞り、あれこれ探し回って、ようやく小さな踏切を渡ったところに決める。
 何本か電車が行き来した後、陽は陰ってしまったが、どうにかデハニ53を捉えることができた。

デハニ53の回送

デハニ53が入れ替わりに発車
 やれやれ、と思う間もなく、早足で高ノ宮駅に取って返して、松江しんじ湖温泉行きに乗る。この電車に乗らないとJR松江駅から帰る列車に間に合わないのだ。
 松江しんじ湖温泉に到着すると、入れ違いにデハニ53『酔電』が発車していった。
 その姿だけカメラに収め、そそくさと駅を出て、タクシーを奮発してJR松江駅へ。
 目的の列車は『サンライズ出雲』。奇しくも往きと同じ列車であるが、この列車が岡山方面への最終列車なのだ。もちろん、東京に戻るわけではないので、寝台ではなくノビノビ座席と呼ばれる指定席である。もう少し座席というか床にクッションがあればいいのだが、完全に横になれるのは楽だ。
 やれやれ、今度こそ本当にのんびりと横になり、家路に就いたのであった。

【2008年7月現地、2009年3月記】

※一畑電車のホームページで、デハニ50形が2008年度中に引退することが正式に発表された。
 それによると、今月(2009年3月)の下旬には引退記念運転も行われるという。
 2003年、2008年と一畑電鉄を訪れたものの、肝心のデハニ50形に乗る機会のなかったことが心残りであった。
 これが最後のチャンスと気持ちは揺れるが、おそらく鉄ちゃんが大挙して押しかけることだろう。
 そんな喧騒に巻き込まれるのは気が進まないので、やはり出向くのは控えて、静かにその日を迎えようと思う。


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