上州福島駅もまた、他の古い駅舎と同じようなつくりである。
あいにく駅舎の半分が陰になって、わかりにくい写真になってしまったが、左側には古い井戸も残されている。
左下の写真は駅舎内の様子。こういう待合室のベンチに腰掛けると本当に落ち着くものだ。
そして構内の側線には、廃車となった貨車が2両、留置されていた。
上州福島駅の上州新屋側には変電所がある。
変電所は、頑丈な構造のためか、上信電鉄に限らず古い建物が残っていることが多い。変電所ゆえ、窓もほとんどない建物は、異様ともいえる存在感である。
写真はその変電所の横を通る下り29列車の150形。シャッターのタイミングが少し遅れて列車が陰に入ってしまった。
陽も傾き、今日の撮影もいよいよ終盤戦だ。
上州福島〜上州新屋間を撮影場所に選んだのは、来がけに、この区間で浅間山が白くきれいに見えたからなのだが、夕方は光線が変わって青く空に溶け込んでしまった。
しかたなく浅間山はあきらめ、夕陽に期待することにする。
まずは上り36列車。陽は傾いたとはいえ、まだ直接太陽を入れるのは無理があるので、たんぼの傍の道路から半逆光気味のアングルでカメラを構える。
列車が近づくと、線路端にとまっていた雀が一斉に飛び立ち、思わずそちらにカメラを振る。
で、できあがった写真は盛大なゴーストで、おまけに雀たちはゴミが舞っているようにしか見えない。我ながら苦笑せざるを得ない出来となってしまった。
気を取り直して次の上り38列車。まあ少しは夕暮れらしさが出せたような気がする。
撮影の合間に近くの公園のベンチで一休み。
さすがに日暮れとともに空気も冷えてきた。昼食抜きとなってしまったこともあって、空腹と疲労がどっと押し寄せる。
何か食べるものはないかとバッグの中をまさぐると、森永のダースチョコレートが出てきた。
最近、ダースチョコレートのパッケージには温度によって色の変わるマークがついているが、当たり前ながら冷え切って濃い紫色になっている。
硬いチョコレートをいくつか口にして、その公園で唯一葉が残っていた木の下で、下り35列車を撮影。
そのまま歩いて上州新屋駅に着いたときには完全に日も暮れて、誰もいないホームでぽつんとひとり、高崎行きの電車を待つのであった。