かつては国内最大の非電化私鉄を誇った関東鉄道。1987年に
筑波線(筑波鉄道)、2007年に
鉾田線(鹿島鉄道)と廃止され、今は常総線と
竜ヶ崎線が残るだけとなってしまった。
そのうち、リンクを張っていないことからお分かりのように、常総線だけ訪れたことがなく、いつか行ってみたいと思いながら、実現したのはやっと今年(2012年)7月のことであった。
今回の行程は、神戸から、いったん東京の家に寄って、晩に取手へ向かい、駅前のホテルに宿泊。翌日フルに撮影して水海道で投宿し、翌午前中で切り上げるというもの。実質2泊1.5日とでも言おうか。
それでも、常総線は全線51.1キロもある。1日半では、とても全てを回り切れそうもないので、予め地図で候補地を4箇所絞り込んでおいたのであった。
取手に泊まった翌朝、まずは第1ポイントの新取手へ。
街に近い複線区間でありながら、地図(航空写真)からは、あたかも森の中を抜けるように見えたのである。現地へ行ってみると予想どおりで、早速、新取手駅から、昔の塗色となったキハ313を駅撮り。半逆光になってしまうが、寺原側へ続く複線の奥行きと光線の具合がなかなかいい感じだ。
駅を出て、同じ森の反対側、つまり寺原側からキハ2102。こちらへ回れば、朝方は順光だ。
気持ちカメラを右へ振りたいところだが、そこにはアンダーパスする道路のごっついコンクリート橋があるので、ぎりぎりかわしたのである。地図ではそこまで細かく読み取れなかったのはしかたない。
撮影後、そのまま寺原まで撮り鉄しながら歩く。
ちょうど朝のラッシュのピークを迎え、ほぼ5分おきに列車がやってきて、下手な大手私鉄顔負けだ。
そう、この日は平日なのであるが、休暇はとっていない。そのへんの事情は説明すると長くなるので省略。
それよりも、あまりに本数が多すぎて、ちょっと移動している間にも列車が来てしまい、何本も撮り逃してしまう。
これが貧乏性の撮り鉄には、精神衛生上、はななだよろしくないのである。どうしても「しまった、また撮り逃した」と損をした気分になってしまうのだ。
言い訳すると、普段は1時間に1本あるかないかのローカル私鉄の撮り鉄なので、撮り逃したときのダメージは大きい。その感覚が身体に染みついてしまっている。こんなことなら、駅でじっと形式写真を撮っていたほうが、よかったかも知れない。
寺原から取手へいったん戻り、ホテルで朝食をとって、チェックアウト。その足でレンタカー店に向かう。いつもなら全線乗車して、乗りつぶしとロケハンを兼ねるのだが、その時間すら惜しんで、第2ポイントの中妻〜三妻間へ向かう。田園風景狙いであったが、実際はどんなところかわからないので、出たとこ勝負だ。
結果は、こちらも予想どおりの田園地帯が広がっていた。水海道からは単線で、昼間はほぼ30分に1本となるが、それでも本数は恵まれているほうだ。
ただ、車の置き場所がなく、うろうろ探しているうちに、下り85列車を撮り逃してしまった。それもなんと車両は元キハ35系のキハ102だ。同じ撮り逃しでも、ショックは朝とは比べものにならない。
かつては、安普請のキハ35系をわざわざ撮ろうなんて、考えたこともなかったのに、今や希少な車両だ。そうなると追いかけたくなるのが、鉄ちゃんの悲しき性である。
キハ102は下館から106列車で折り返すと読みを入れて、また撮り逃すことのないよう、近場の撮影ポイントを探す。すると、地図にない大きな道に出て、狐につままれたような気分で車を走らせると、常総線を渡る跨線橋に至った。よし、撮影ポイントはここにしようと車を脇道に停める。後で調べてみると、この道は、今年4月に開通したばかりの「アグリロード」つまり農道だそうだが、各地の広域農道と同様、とにかく立派な道路なのである。
先にやってきたのは、99列車のキハ2402。左上に道路や家がごちゃごちゃ入ってしまうので、カメラを少し下へ振る。そのせいで、列車の位置が偏ってしまったが、単調になりがちな田園地帯では、結果オーライかな。
106列車も、同じアングルという思いはよぎったものの、後追いになってしまうので、角度を変えて筑波山をバックに。
読みどおり、106列車はキハ102であった。(後になって知ったのだが、関東鉄道のホームページには、キハ100形の時刻表がちゃんと掲載されている)