浜駅からの帰り(といってもまだ朝の9時半ではあるが)は、先ほど恥を忍んで撮った2連の折り返しに乗る。この日は石岡寄りからキハ714、キハ602という編成であった。
車掌がキハ602に乗務しているためか、先頭のキハ714に乗客はいない。元々この2連は、石岡から下りの通学客用のはずで、さすがにこの時間の上り列車になると乗客自体少ないのである。
せっかくならキハ714に乗りたいと思ったが、もしかして、回送扱いで締め切られているのだろうか、恐る恐る車掌に尋ねてみると、「どうぞ前に移ってもらって結構です」とのこと。
とはいえ、貫通扉はないので、小川高校下で停車中に一旦ホームに降りて乗り換える。慌てていたせいか、キハ714の扉がなかなか開けられず、変な汗をかいてしまう。
その後、キハ714には誰も乗り込むことはなく、貸切状態で石岡に戻ったのであった。
石岡からいつもどおり何食わぬ顔で本業の仕事に戻った、のではなく、実はここからが取材の本番なのである。津軽鉄道のストーブ列車取材と同じ趣旨、つまり暖房装置を調べるために石岡の車庫を訪ねたのであった。
ホームには次の10時32分発のキハ432が入線してきたが、どうも様子がおかしい。急遽、入庫していたキハ431がエンジンをかけ、ピンチヒッターに立つようだ。
車庫の職員も慌しそうなので、しばらく様子を見る。無事ピンチヒッターのキハ431が発車したのを見届けて、声をかけてみた。何でもキハ432の燃料の電磁弁がうまく作動しなかったとのこと。
さて、本題の暖房装置である。
「暖房装置だけでも3種類もあって、大変ですよ」車庫の職員がぼやく。キハ430形とキハ600形、KR500形それぞれ暖房方式が異なるという。で、それぞれの違いを説明してもらったのに、1年余り経つ間にこんがらがってしまった。
というわけで、ここではちょうど点検中だったキハ602の暖房装置の写真だけ紹介して、解説は情けないが省略。
そうこうしているうちに、東京へ向かう時刻が迫ってきた。車庫の職員にお礼を言って、今度こそ何食わぬ顔で石岡11時11分発のフレッシュひたち20号に乗車したのであった。
【2003年12月現地、2005年2月記】
エピローグにつづく。