折津からは県道を歩いて上総大久保駅に舞い戻る。
途中、ロックシェッドの脇の歩道から小湊鐵道のガーダー橋が見えたので、逆光ではあるもののそこで1枚。
その後は飯給駅に向かい、地図で目星をつけていた飯給〜月崎間の踏切まで歩いてみる。
列車を待っていると、犬を連れた初老の男性が通りがかった。
なるべく地元の人には一声かけることにしているので、このときもいつもと同じく「お邪魔してます」とご挨拶。
それをきっかけに少し話をする。
「秋にはここにもたくさん鉄道ファンが来るよ。ほら、あそこに柿の木があるでしょう。それを入れて撮るようだね」
「なるほど」
「小湊鐵道は赤字じゃないんだから大したもんだ」
「そうですよね。この先のいすみ鉄道は大変らしいけど、小湊鐵道は堅実ですね」
「なにしろ地元に出資させたんだから頑張ってもらわなきゃ」
その男性曰く、小湊鐵道敷設のため、大正時代に線路用地として地元から土地を買収した際、代価は金銭ではなく株券だったという。裏は取れていないが、何となくあり得そうな話ではある。
ひとしきり会話を交わした後、初老の男性は犬の散歩の続き、こちらは撮り鉄モードに入る。
こうしてできあがったのは平凡なアングルの写真。画面左側に柿の木の枝が見えているが、なにぶん2月では枯れ枝状態である。確かにここに赤い柿の実がなっていたら、いいアクセントになるだろう。
飯給駅に戻るのに、同じ道をたどるのもつまらないので、少し遠回りしてみる。
また途中にトンネルがある。今度は坑口も素掘りの素っ気ないトンネルであるが、それでもちゃんと照明が設けられている。坑口に倒木がもたれかかっているのも同じだけど・・・。
飯給駅に戻る途中で、遠目に小湊鐵道が山の間から望めそうなので、そこで下り列車を待ち受ける。
しかし、列車が顔を出したのは、ほんのちょっとだけであった。ちょうど列車の部分だけ、陽が差したのがせめてもの救いか。
この日の最後はまた夕陽狙い。
なるべく広いところと地図を物色して、海士有木付近に決める。
でも、結果は何が写っているんだか、という出来だ。
それよりも、別の角度で犬の散歩姿を入れて撮った写真のほうが、ほっとする感じで気に入っている。
こうして、2日間の撮影を終えたのであった。