3回目の訪問は2008年3月中旬。例によって日帰り出張の前夜に五井に泊まり、翌日の午前中だけ小湊鐵道に寄ってみた。
時間も限られているので、撮影場所は上総大久保に絞る。
というのも、前回、駅前に小学校があることに気づいたので、ちょっと調べてみたら、やはり小湊鐵道で通学する小学生がいることを知り、
いすみ鉄道で果たせなかった通学シーンを撮ろうと思ったのだ。
まずは上総大久保8時5分着の下り列車。ホームで待ち受けていると、6人の小学生たちが、男女のグループ別にしっかり扉を使い分けて降り立った。
自分の小学校時代を思い起こしても、男の子vs女の子と何かと張り合ったもので、なんだか微笑ましく思える。
駅を出て、踏切を渡れば小学校は目の前だ。その踏切も、女の子たちが先に渡り、少し間をおいて男の子たちが渡っていくのであった。
折り返しの上り列車は8時19分着。今度は10人ばかりの小学生たちが下車した。
おそらく始業時間は8時半だろうから、結構ぎりぎりの時間帯である。でも毎日のことだ、小学生たちに慌てる様子はない。
写真は、下り列車と同じような感じになってしまったが、そのときの様子である。
次の列車は10時台の1往復。待ち時間はたっぷりあるので、鉄道雑誌で見かけた俯瞰写真を撮るため、山に入ってみる。
山道を登ってあれこれ探しまわるが、ちらっと線路は見えるものの、なかなかこれといったアングルに出会えない。少々焦り出した頃、山肌に人が登った痕跡を見つけ、「これだ!」と行ってみると、ど〜んと視界が開け、眼下に上総大久保駅に向かってカーブする線路が見渡せる。その光景は感動的ですらある。
ただ、ちょうど崖になっているのだが、風化が進んでいるのだろうか、まわりの木々が傾いている。
もしかしたら、その崖は顎のように張り出しているのかも知れない。もともと高いところはあまり得意ではないので、崖の縁には近寄らないことにした。
おまけにものすごい風が吹き上げてきて目を開けるのもつらい。さらに山肌の杉の木は赤く染まって、すなわち花粉も巻き上げているはずで、見るだけでも目がかゆくなりそう。
感動的と言いながら、文句ばかりだが、もちろん、撮影ポイントとしては申し分ない。
ここで上下1往復の列車と撮ることにする。
最初は敢えて広角気味に引いて撮るが、さすがに列車が小さくなりすぎてしまった。
次はオーソドックスと言うか、ありきたりに望遠で上総大久保駅を望む。菜の花が築堤を黄色く染めつつある時期であった。
よく見かける構図であるが、同じ場所から撮っているのだから当然と言えば当然。
これであっけなくこの日の撮影はおしまい。たった2往復を撮っただけだが、それを覚悟で来たのだから。
【2008年1〜3月、同年6月記】
後編につづく。