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弘南鉄道 冬
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 翌日は弘南線。かなり雪が降っていて、これは今日もラッセル車が期待できそう。弘前駅で、昨日と同様に大黒様きっぷを買って、黒石行きの7000系に乗車。
 発車時刻を迎え、運転士が扉操作をすると、これも昨日の大鰐線と同様、扉が1つだけ閉まらない。運転士がお湯を持ってきて扉にかけるが動かず。やむなくエアをいったん抜いて手動にしてもだめ。昨日よりもずっと手ごわい。あげくに車内のシートを外してドアエンジンに直接お湯をかけるという荒療治まで施すが、びくともしない。もっとも、都会(東急)生まれの7000系に、この寒さは酷と言うもので、ちょっとかわいそうな気もしてくる。
 結局、お手上げで、次の定期列車に併結して車庫のある平賀まで回送されることになった。結果的にまた1本間引かれたことになる。


連結器の雪を溶かす 救援列車の併結
併結に備え、凍りついた連結器をお湯で溶かす。
次の列車が2番線で乗客を降ろした後、1番線にまわって救援。


 雪は降り続いているので、柏農高校前駅の津軽尾上側にある踏切で撮ることにして、駅の待合室で待機。列車が来るたびに外へ出て、上下列車を何本か撮る。これまた前日同様、安直な撮り方だが、ご覧のように降りしきる雪の中で、延々と列車を待つ気にはとてもなれなかったのである。


柏農高校前に入線する7000系 降りしきる雪の中を行く
柏農高校前駅に入線する7000系
ひときわ激しく雪が降る中、黒石行きがやってきた。


凍てついたラッセル車
 しかし、お目当てのラッセル車はやってこない。
 待合室で待機といえども、暖房もなく、さすがに身体が冷え切ってきた。とりあえず様子見ついでに黒石まで行ってみることにする。途中の交換駅でラッセル車とすれ違ってしまうことだけが気がかりではあったが、田舎館で普通列車と交換しただけで黒石に到着。お目当てのラッセル車キ104と電気機関車ED333は、除雪の山に埋もれて冷え切っていた。
 駅でお愛想に東奥日報を買って、尋ねてみる。
 「ラッセル車は走りませんか?」
 「今のところ、予定な〜し!」威勢のいい返事に気圧されて、すごすご引き下がる。
 しかたない、こうなったらゆっくり昼飯でも食べようと駅を出る。まず駅前の観光案内所に入ってみると、「B級グルメ やきそばのまち」とのポスターやのぼりが目に留まる。黒石の名物って、焼きそばだったかな? まあ、焼きそばなら昼食にはちょうどいい。ものは試しと、案内所のスタッフにお勧めの店を紹介してもらい、出向いてみる。
 店のご主人に「黒石の焼きそばを」と注文すると、「ちゅう焼きそばね」と言われ、中とは何だろう、大盛りでもなく、小盛りでもなく、中盛りの焼きそばかと一瞬戸惑う。私が返事をためらっているので、ご主人がまた「ちゅう焼きそば?」と尋ねてくる。それでやっとわかった「中」ではなく「汁」がなまっていたんだ。そういえば、観光案内所で、「つゆ焼きそば」と言われたっけ。
 20分くらいじっくり調理に手をかけて、出てきた「つゆ焼きそば」。なるほど、汁というだけあって、スープ焼きそばという感じで、もちろんスープがソース味なのがB級グルメらしいところ。でも、焼きそばをつるつると食べるのは不思議な食感で、ちょっと癖になりそうな味である。

 食後、せっかくだから観光しようかと思うが、相変わらずの雪に尻尾を巻いて黒石駅へ帰ってみると、ED333のパンタグラフが上がり、キ104からはストーブの煙。これは!と駅の事務所の様子をのぞくと、職員の数も増え、なんとも言えない緊張感が伝わってくる。とどめは黒板に書かれた「1006テン」の文字。もう尋ねるまでもない、除雪の1006列車運転という意味だろう。間違いない、ラッセル車が走る!


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