1986(昭和61)年に開業した長良川鉄道の前身は、国鉄越美南線。
その越美南線時代の1977(昭和52)年に全線乗車したのだが、写真も記憶もほとんど残っていない。だから今回は初乗車のようなものである。
6時26分発の始発列車に乗るべく、まだ夜明け前の美濃太田駅に向かう。
6時過ぎには長良川鉄道のホームに立つが、列車はまだいない。
ほどなく、回送列車がやってきた、と思ったら、関を5時53分に出発した文字どおりの始発列車であった。美濃太田からの下り列車の時刻に気をとられ、上り列車のことを忘れていたのである。おまけに乗客の姿がなかったので、てっきり回送と思い込んでしまったのだ。
美濃太田を発車した列車は、約20分で関に着く。6分間の停車中に、駅員が検札にやってきたので、土日祝日限定の『1日フリーきっぷ』を買う。
値段は2,000円。安くはないが、なにせ美濃太田から北濃まで片道1,650円、つまり往復では3,300円になってしまうので、買わねば損である。
同じ列車に乗り合わせた郡上八幡に向かうという女性客も、その駅員から「片道1,080円ですから、列車で往復するならフリーきっぷのほうがお得ですよ」と勧められていた。
この日の天気は生憎の雨。
それでも事前に立てた行程どおり、まずは赤池で下車。
駅の前後で長良川を渡るので、絵にしやすそうとの思惑だったのだが、傘をさしながらの撮影では、今ひとつテンションは上がらない。もちろん雨だから、写真の彩度も上がらない。
ここからの移動は、列車を待つ間も惜しいので、バスで深戸〜相生間へ。
国道156号線を歩いていくと、『いたち坂ポケットパーク』というミニ休憩所があり、東屋も設けられているので、雨宿りには好都合だ。
ちょうど長良川鉄道が、すぐ脇で長良川を渡るので、列車が来るまで東屋で待機。
まずは下り第3列車をポケットパークから少し先の国道から撮る。
相変わらず傘をさしての撮影ではあるが、もし好天であれば逆光のはずだから、こんな天気だからこそ撮れるんだ、と自分に言い聞かせる。
国道からトラス橋を望むと、写真の左側にも写っている川原には、何という草なのだろう、このへんの一般常識にうとくて恥ずかしいのだが、一面淡い赤色に染まっていて、興味を覚える。
そこで、次の上りの第8列車は川原に下りて撮ってみた。
ポケットパークから相生〜郡上八幡間にあるホテル郡上八幡付近までは1キロほど。幸い国道にはちゃんと歩道が整備されていて歩きやすい。
そのホテル郡上八幡付近で、上下列車を1本ずつ撮影。晴れていれば、紅葉も映えるのだろうにと、ぼやくのはこれくらいにしよう。