この日は途中で撮影しながら阿仁合方面へ。写真は、阿仁合駅から少し荒瀬側にある異人館の横を走る211D。異人館は、阿仁鉱山の外国人官舎・事務所だったもので、ちょっと日本離れした光景に惹かれ、葉桜と絡めて撮影したもの。
さらに荒瀬側へ歩くと、八重桜と芝桜?と水仙が並んで咲いていた。おお、赤・白・黄色の三色揃い踏みだと、今度も引き算はせず、広角で思いっきり足し算をして撮影。
阿仁合を少し離れて、笑内駅へ。打当温泉からの来がけに、笑内駅の駅前広場に枝垂桜、ホーム脇に白い桜が花を残しているのを確認済なのだ。
そのうちホーム脇の白い桜に絞って撮ろうと、車を枝垂桜の袂に置く。車を降りると、ふとカメラを持った若い男と目があって、少々びっくり。まさか先客がいるとは思わなかったが、彼は枝垂桜を狙っているようだ。
「ここに車を置いたら邪魔だね」と声をかけると、無言でうなずく。ちょっと複雑な思いが胸をかすめるが、素直に邪魔にならない場所へ車を移動。お目当ての白い桜を撮るためにホームに上がる。ここなら彼のアングルでは入らないだろうと振り返ると、ずっと後ろの斜面に、もう一人いることに気づいた。あらら、駅の全景を撮るつもりか、ということはホームでも入ってしまうな。しかたない、ずっと下がって、向こうからは死角となる駅舎の陰から望遠で狙うことにする。
と、くどくど書いたのは、下の写真は望遠では無理があるのを承知で撮ったという言い訳なのである。
そのあとは荒瀬〜萱草間で車を置いて、山中に入る。桜はないが、ここは沿線で見つけた数少ない俯瞰場所なのだ。ただ、やはり小心者ゆえ、山中でひとり列車を待っていると、熊が出そうで怖い。そこで、他人が見たら笑われそうだが、ずっとガードレールをカンカンたたいていたのである。そう、熊鈴のかわりだ。
で、肝心の列車だが、予想以上に木の枝が邪魔で、ちょっと思い通りにはならず。
もう昼もだいぶ回ったので、阿仁合駅に戻って、遅い昼食をとることにする。店は駅舎の中にある「こぐま亭」と決めていた。というのも、かの
駄菓子さんが、たまたま前の月に阿仁合を訪ねていて、こぐま亭の馬肉シチューが美味だったとブログに書いていたのだ。実を言うと、それを読んでちょっと疑問に思ったのである。こぐま亭では以前にも食事したことがあるのだが、地元のおばちゃんたちが切り盛りする大衆食堂で、シチューなどというしゃれたメニューはなかったはずだ。駄菓子さんを疑うわけじゃないが、これは自分の目で確かめるしかないと思ったのである。
いざ、こぐま亭へ行ってみると、入口のメニューの看板には、確かに「馬肉シチュー&黄金ライス」とある。しかし、その横には、無情にも「売り切れ」の貼り紙。やはり人気があるのか、売り切れは馬肉シチューだけ。そうなると、他のメニューを頼むのはしゃくだ。こぐま亭は明日にしよう。
夕方、連泊の打当温泉へ戻る。前日の経験から、115Dが来る18時ごろに日が沈むと読んで撮ってみたが、思いのほか夕暮れらしくない。ということで写真は赤味を増して、ちょっとごまかしてしまった。