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近江鉄道2019
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 2019年11月上旬、朝日大塚〜朝日野間へ出かけた。
 ここへは1年前にも訪ねて、沿線で見つけた柿の木が気に入って撮影したのだが、天候に恵まれなかったので、今回は仕切り直しのつもりであった。
 ところが、前年はたわわに実っていた柿が、数えるほどしかついていない。そうか、昨年がんばった反動で、今年は裏年となり少ないのか。そういえば、東京の家の柿の木も年によって実り方が大きく違ったものだ。
 しかたない、他の柿の木を探そう。こうして見つけた柿の木は朝日野駅近くの線路東側にあって、訪ねた夕方は完全な逆光となってしまう。逆光では柿の色が出にくいことは覚悟のうえで、少々無理やりな構図で撮影。
 

逆光の柿の木shadowshadow


 朝日大塚側へ少し歩いたところにも柿の木があった。こちらは線路の西側、つまり順光で撮れるので都合はいいのだが、柿の木はどう考えても私有地内にあって近づけない。あれこれ考えたものの、真横からの単純なアングルで撮るしかなく、力不足を痛感させられる。


朝日大塚〜朝日野shadowshadow


 その日は水口に泊まり、翌早朝、いつもの日野〜水口松尾の築堤へ。
 2018年の12月は、黄金色に輝いていた草むらがまだ青い。もしかしたら草むらではなく、何かの作物なのかも知れないが、本当にそのへんは疎いところだ。その葉に朝露が下りて一面きらきら光り、前年が黄金なら今回は真珠の輝きだ。これは絞りを開放にして、玉ボケ狙いしかあるまい。そのためには焦点距離も長めにすべきなのに、たくさんの真珠の輝きを捉えたくて広角気味にしてしまい、どっちつかずの中途半端な結果に。ついつい欲張ってしまう癖は、なかなか抜けない。
 ちなみに車両は、初代700形から引き継いだ2代目の900形「あかね号」だ。


輝く朝露shadowshadow


 1か月後の12月上旬、同じ築堤に再チャレンジ。また朝露が下りていれば、今度こそしっかり撮るつもりで現地へ出向くと、地面が掘り返されて状況が一変していた。ということは、やっぱり作物を植えていて、次に備えて畑を起こしたのだろうか。
 いずれにしても朝露は望めないので、日の出に焦点を絞る。まずは7時過ぎの八日市行きの上り8502列車だ。まだ太陽の位置は低く、電車の床下から朝日がのぞいている。それよりも、小さなガーダー橋の下から差し込む光が幻想的で、ぐっと惹かれるのであった。


日の出直後shadowshadow


 八日市行き上り列車から約10分後、今度は日野駅で行き違った貴生川行きの下り5803列車がやってくる。
 たった10分の差だから、写真もほとんど違いはないように見える。その間、太陽の角度は約2度上っただけだ。でも、それだけでガーダー橋の下から差し込む光は短くなってしまい、そのかわり手前の畑には築堤の上から陽が当たりだしている。
 初めからそれを読んでいたわけではなく、上り列車と同じように撮れば、今度は陽が車窓を抜くだろうと漫然と構えていた。ただ、そうすると画面全体が影で真っ暗になってしまうことに気づき、少し右へ移動して、陽を列車の前に置くことにしたのである。しつこいが、画面左側の黒い影は、上り列車では築堤自体、下り列車では列車のもので、まったく異なるのだ。
 このように状況の変化に対して、とっさに対応を考えるのも、意外に楽しい。これは撮り鉄に限らず、風景や町中のスナップなども共通で、撮影の醍醐味とも言えるだろう。とはいえ、往々にして失敗してしまうのだが、このときはうまく立ち回れたので、似た写真ながら2枚並べた次第。
 

光芒狙いshadowshadow



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