桜の花を求めてもう少し山に入るべく、横屋から再び2両編成のディーゼルカーに乗り込む。後ろの1両は、元祖レールバスとも言うべき2軸のハイモ180−202であった。普段は予備車扱いであるが、多客期とあって駆り出されたのだろう。2軸ならではの不思議なジョイント音をしばし楽しむ。
そうそう、駆り出すで思い出した。これらのディーゼルカーはワンマン仕様であるが、この日は2両編成ということもあってツーマン、つまり車掌が乗務している。
乗り合わせた車掌は女性で、へえ樽見鉄道には女性車掌もいるんだ、と思ったら、どこか見覚えが。
そう、昨年工場の事務所で見学をお願いした女性職員であった。職員も車両も総動員である。
レールバスに乗って目指すは桜がきれいと聞いていた木知原。下車してみると、そこここに鉄ちゃんの姿が。やはり木知原〜谷汲口間が撮影の定番ポイントらしい。でも、残念ながらこのあたりの桜もほとんど終わっていた。
ここで8006列車の折り返しである8005列車を撮り、谷汲口に向けて歩く。
次のターゲットは上り8008列車、12系客車+貨車改造客車の『うすずみファンタジア号』である。撮影ポイントも、根尾川の手前の跨線橋で俯瞰写真と決めていた。ところが跨線橋の上には既に何人もの鉄ちゃんが陣取っていて、気後れしてしまい、すごすごと別の場所に移動する。
この調子では谷汲口も鉄ちゃんだらけかな、と思いながら、いざ駅に着いてみると、2〜3人の姿しかなく、気兼ねなく撮れそうだ。
ここの桜も盛りは過ぎていたが、何とか色を出せるよう、いろいろアングルを変えて撮ってみる。
最後は14系の8010列車の姿をカメラに収めて引き上げたのであった。
翌日、名古屋の出張先で、会社の同僚に挨拶もそこそこに尋ねられた。
「昨日はまたどこかの鉄道に寄ってきたんですか?」(ばれてる)
「いや、その、実は大垣の樽見鉄道に・・・」
「ほお、淡墨桜で有名なところですね。どうでした?」
「いや、その、実は淡墨桜は見てなくて・・・」
いかん、来年、淡墨桜を見るまで取材は終わらない。
【2004年4月現地、同年7月記】